列車はいよいよシベリアを越えてヨーロッパ・ロシアへ

さあ、いよいよ列車はシベリアの大地を走り抜けてウラル山脈にさしかかります。ウラルの東側がシベリアで、西側はヨーロッパのロシアです。つまり、ウラル山脈がアジアとヨーロッパの境目ということになります。その境界を示すオベリスクが線路脇に立っています。これは絶対に見逃したくありません。ウラル山脈の平均標高は900〜1200mとそれほど高くはありませんが、列車はゆるい勾配をゆっくりと上っていきます。オベリスクまでもうすぐ。モスクワまで1778kmを指す道標が見えたところで、車窓の左側に白いオベリスクが見えてきます。高さ2mほどの白い塔が一瞬にして車窓を過ぎ去っていきます。ここから列車はヨーロッパに入ったのです。

シベリアの大地を駆け抜けるシベリア鉄道9300kmの大旅行(その5) シベリアの大地を駆け抜けるシベリア鉄道9300kmの大旅行(その5)

ボルガ川を渡るとロシア正教会が見えてくる

翌日、モスクワまで1000kmを切り、いよいよ長い列車旅行も最後の日を迎えました。最終日のハイライトは「ボルガの舟歌」で有名なボルガ川です。この川を渡る鉄橋は上下2段式。上を車、下を列車が走ります。川幅が広くてまるで湖のようで、外洋を航行するぐらい大きな船が停泊しています。モスクワまで残り200kmになると、車窓に青いねぎ坊主を戴いたロシア正教会の姿が見えてきます。モスクワが近くなってきたことを感じます。ウラジーミル駅に停車すると、ここからも金色の教会が見えます。モスクワからここに至る道はウラジーミル街道と呼ばれ、ここを通って多くの政治犯がシベリアへ送られました。

シベリア鉄道旅行の終着駅モスクワへ

列車がウラジーミルを出ると、沿線にお洒落なダーチャ(別荘)が見えてきます。モスクワ市民の憩いの場所なのでしょう。やがて工場や団地がひんぱんに現れ、車の数もどんどん増えていきます。レンガ造りの建物が多い近郊の街を過ぎ、あと10分でモスクワに到着というときに、前方に細く尖った塔が現れました。ロシアの放送局オスタンキノテレビの塔です。近郊電車の乗客がこちらに向かって手を振っています。この列車がシベリアから来たことを知っていて歓迎しているのかもしれません。そして列車はモスクワ・ヤロスラブリ駅に到着。ついにシベリア鉄道の旅が終わりました。列車泊だけで6泊7日。本当に長い旅ですが、様々な景色が楽しめるすばらしい旅になることは間違いありません。