なぜか物足りなかったマドリードの企画展

2013年、マドリードのプラド美術館で「エルミタージュ美術館展」が催されたので、昔サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館を訪れて非常に素晴らしかったのを思い出し、足を運びました。ところが、展示されていた美術品は一級のものばかりなのに、どうも味気ないというか、昔のように感動できなかったのです。なぜなのか考えてみて、展示している「箱」のせいではないかと思い当たりました。プラド美術館の特別展会場はシンプルな部屋でしたが、本物は世界遺産にも登録されている宮殿で、「箱」自体が超一級の芸術品であり美術品なのです。やはり現地で見てこその感動なのですね。

建物自体が一級の美術品!世界三大美術館のひとつエルミタージュ美術館 建物自体が一級の美術品!世界三大美術館のひとつエルミタージュ美術館

250年のロシア史の舞台

ロシアのサンクトペテルブルグにあるエルミタージュ美術館は、パリのルーブル美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館とともに世界三大美術館のひとつとされています。美術館の建物は、元々はロマノフ王朝の歴代の皇帝の冬宮で、エカテリーナ2世をはじめとする歴史上の大人物が実際にここに住んでいました。また、ロシア革命や第二次世界大戦、スターリンによる博物館職員の大量粛正など、波乱の政治の舞台となり、ロシア史を見続けてきた証人でもあります。エカテリーナ2世の絵画コレクションを展示する宮廷美術館からはじまり、今では300万点の所蔵作品を有しています。

宮殿内の荘麗さに呆然とする

私が訪れたときは、サンクトペテルブルグの街とエルミタージュ美術館について、ほとんど詳しい情報を持っていませんでした。この美術館で見逃せない作品は何なのかもわからなかったので、とにかくルートに沿ってすべての部屋を丹念に見て行くことにしました。初めて本物を生で見たレオナルド・ダ・ビンチの絵をはじめ、名だたる巨匠の絵ばかり! でも、それ以上に興奮したのが各部屋の意匠を凝らした装飾と調度品、ロマノフ王朝の財宝の素晴らしさです。どの部屋も息を呑むほどの荘麗さで、呆然としながら見ていたら全然時間が足りず、結局翌日も訪れることになってしまいました。

エルミタージュを護衛する猫たち!?

エルミタージュ美術館には、館内のネズミ捕りを目的に現在60匹以上の猫が雇われています。なんとエカテリーナ2世が正式に「絵画護衛官」に任命しているんです。以後、1941年からのドイツによるレニングラード包囲での絶滅、1960年代後半の撤去と、不在のときもありましたが、やはり猫の手を借りずに美術品を保護することができず、今では写真入りの身分証明書が猫たちに発行されています。3人の専任担当者がいて、全猫の名前を覚え、日々の食事の支給だけではなくて、健康管理もしっかり行っているのだとか。もう一度エルミタージュを訪れる機会があるなら、是非絵画護衛官のみなさんにも会ってみたいものです。