エルミタージュ美術館よりもロシア美術館という理由

ロシアの古都サンクトペテルブルグ。最大の観光名所はもちろんエルミタージュ美術館です。世界三大美術館の一つにも数えられ、世界遺産にも登録されている美術館ですから、この街を訪れる人で、エルミタージュに行かない人はほとんどいないでしょう。だからいつも混み合って、長時間並ばなくてはならないこともあります。それがいやだなと思う方には、ロシア美術館をお勧めします。こちらはそんなに観客が多くありませんので、ゆっくりと見られます。でも、このロシア美術館、本当にすばらしい美術館なのです。エルミタージュで有名な西洋画コレクションはヨーロッパの美術館でも見られますが、ロシア美術館のロシア絵画はここでしかまとまって見られません。

ロシア美術館でしか堪能できないロシア美術は必見! ロシア美術館でしか堪能できないロシア美術は必見!

ロシア美術の画期「移動派」の作品

ロシア美術館では作品が年代別に展示してあります。古典的な技法で貴族の肖像画ばかりだった時代から、民衆の姿が描かれるようになった時代、そして現代的なロシア・アバンギャルドの時代へと、ロシアの美術史を一望できる構成になっています。とりわけ迫力に満ちているのは、「移動派」と呼ばれる画家たちの作品です。帝政ロシアの時代、美術アカデミーが圧倒的な勢力を持ち、絵画のテーマや描き方まで制限を加えていました。それに叛旗を翻したのが「移動派」の画家たちでした。アカデミーの指導を拒否し、自分たちの展覧会を街から街へ移動しながら開催していったのです。そこから「移動派」と呼ばれました。

これだけは見逃せないロシア絵画

「移動派」は特権階級のものだった芸術を一般民衆に解放しました。ここからロシアに民族的な絵画が生まれ、さまざまなテーマの作品が描かれるようになったのです。その代表的な作家がイリヤ・レーピンです。有名な「ヴォルガの舟曳き」はレーピンの作品です。ロシア美術館では、レーピンの大作「帝国枢密院設立100周年記念の儀礼」、「クルクス県の十字架行進」の他、ワシーリー・スリコフの「フョードシヤ・モロゾワ」、「銃兵処刑の朝」、あるいは シシュキンとサヴィツキーの共作「松林の朝」などすばらしい作品ばかりですが、とりわけロシア美術の代表作ともいえるイワン・クラムスコイの「見知らぬ女」は絶対にお見逃しありませんように。