6000以上もの鍾乳洞があるスロベニア

ヨーロッパの中で、まだまだ日本では馴染みのない国のひとつスロベニアは、オーストリアの南、クロアチアの北に位置します。小さな国ですが、アドリア海、ユリアンアルプス、パンノニア平原という三つの地域に分けられ、海、山、イタリアやオーストリアの影響を受けた美しい街並み、そして薬効高い温泉と、様々な魅力に満ちています。国土の4分の1にも及ぶ、石灰岩で覆われたカルスト地方には、石灰岩が浸食されてできた6000以上の鍾乳洞があり、そのうち100の洞窟が公開されています。

スロベニアの世界で最も有名な鍾乳洞の凄さに言葉を失う スロベニアの世界で最も有名な鍾乳洞の凄さに言葉を失う

世界最大の地下峡谷「シュコツィアン鍾乳洞」

1986年、スロベニアで最初に世界遺産に登録された「シュコツィアン鍾乳洞」は、日本ではあまり知られていませんが、歴史上最も古く紀元前から存在が確認され、世界中で最も知られている鍾乳洞です。地理の時間に習う「カルスト地形」はこの鍾乳洞のあるカルスト地方の地名が語源になっています。シュコツィアン鍾乳洞の見学コースは2つありますが、できれば2つとも歩いてみるといいでしょう。コース1はガイドつきのツアーで、この鍾乳洞のハイライトである「ツェルケヴェニコヴィム橋」を目指します。

地底を流れる激流に呆然

洞内に入ると、最初のほうはまだ空間が小さいですが「大広間」「沈黙の洞窟」などの広い空間を進むにつれて徐々に空間が広がっていきます。やがて体育館より広い場所にたどりつくと、中心に巨大な鍾乳石が鎮座しています。周りには何もないのに、そこだけ巨大な鍾乳石が存在するという光景に言葉も出ません。やがて静寂の中突如として轟音が聞こえ、これまでとは比べものにならないほどの巨大な空間に出ます。地の底にこんな空間があるとはにわかに信じられないような場所です。高さ200mの深い谷の底には轟々と川が流れ、周囲は崖、崖、崖。まさしく絶景といっていいでしょう。

写真には収まらないスケールに圧倒される

轟々と流れる激流の上50mほどのところにツェルケヴェニコヴィム橋が架けられていて、橋までは、断崖に刻まれた細い道を行きます。橋を渡るときの橋からの眺めも素晴らしいです。洞窟内は写真撮影禁止ですが、もし可能だったとしても、この峡谷の全景を写真に収めることは不可能でしょう。この凄まじいほどの絶景は、自分の目で見て心に焼きつけるしかないと思います。鍾乳石よりも茶色い崖と岩のほうが多いので、鍾乳洞というより洞窟といったほうがいいかもしれません。人には決して作れない大自然の造形に畏怖の念すら湧いてきます。世界には、自分が知らないだけで、凄い場所がたくさんあるんですね。