「アランフェス協奏曲」の舞台

ホアキン・ロドリーゴ作曲のギター協奏曲「アランフェス協奏曲」。名前は知らなくても、第二楽章の調べを聞けば多くの人が『ああ、聞いたことある!』と思うに違いない名曲です。「アルハンブラの思い出」もそうですが、スペインの風景にはなぜかギターの音色が似合います。陽気そうなイメージなのに物悲しいギターの調べが似合う国。乾いた大地と強い太陽の光がそう思わせるのかもしれませんね。アランフェスは、マドリードの近郊に実在する町の名です。スペイン王室の春の離宮と庭園があり、その景観は世界遺産に登録されています。

マドリードからの日帰り旅行 その3【王宮と庭園とイチゴ列車のアランフェス】 マドリードからの日帰り旅行 その3【王宮と庭園とイチゴ列車のアランフェス】

タホ川沿いに建つ王家の離宮と緑濃い庭園

アランフェスは、マドリードからはバスまたは国鉄の近郊線で40分〜1時間ほどの距離にあります。タホ川がつくり出す潤いのある風景と、川沿いに広がる緑豊かな庭園が訪れる人の心を癒してくれる、カスティージャの乾いた大地のなかのオアシスのような町です。ここでは真夏の強烈な日ざしも庭園の木々からこぼれる木漏れ日となり、心地よく感じられます。アランフェスは15世紀末にカトリック両王によって王室の土地とされました。現在の華麗な王宮はいくつもの時代を経て増築され、ブルボン王朝全盛の頃、カルロス3世の時代に完成し、王室の春の離宮として使用されていました。

必見「アラブの間」と「磁器の間」

離宮内にいくつもある部屋の中でも特に美しいのが、王妃が喫煙に使ったという「アラブの間(喫煙の間)」。グラナダのアルハンブラ宮殿の「二姉妹の間」を模した装飾が施されています。部屋全体が東洋の人物や動物、植物のモチーフの磁器で覆われている「磁器の間」は、デコラティブでグロテスクな雰囲気さえ漂うユニークな部屋。離宮の見学にはスペイン語か英語のガイドツアーがあり、ツアーでしか入れない王の寝室や昔のトイレ、王妃のバスルームなども見ることができるので、料金はアップしますがオススメです。

アランフェスといえばイチゴ列車

マドリードからアランフェスへの鉄道は、1851年にスペインで2番目に開通した歴史のある路線です。一度姿を消した後の1984年に、観光用列車「イチゴ列車」として運行が開始されました。クラシカルな客車は運が良ければ蒸気機関車に牽引され、アランフェス駅までの50分間、往時の雰囲気そのままに走ります。車内では19世紀当時の衣装に身を包んだ乗務員から、アランフェスの特産のイチゴがふるまわれます。王宮や庭園などをガイド付きで見学してマドリードに戻るこのツアーは、5〜6月と9〜10月の土日に運行されるので、タイミングが合うようでしたら是非参加してみてください。