サグラダ・ファミリアのドキュメンタリーが公開

グラナダのアルハンブラ宮殿と双璧を成す、スペインでもっとも日本人に人気のある観光地といえば、バルセロナのサグラダ・ファミリア(聖家族教会)でしょう。バルセロナが生んだ天才建築家、アントニオ・ガウディによる未完の傑作で、着工から100年たった今でも、まだ建設中です。しかも未完にも関わらず、2005年には世界遺産に登録されました。さて、そのサグラダ・ファミリアを取り上げたドキュメンタリー映画が、日本でも2015年12月12日より公開されます。「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」です。

2015年現在、受難の門の装飾はかなり完成している 2015年現在、受難の門の装飾はかなり完成している

撮影は2010年ごろ。貴重なインタビューと建設の裏側

このドキュメンタリーは、2012年にスイスで製作されたもの。2010年のローマ法王ベネディクト16世による聖別式の模様が出てくるので、おそらく撮影はその前後。なので、現在(2015年)にはかなり仕上がっている「受難の門」がまだまだできあがっていなかったりしています。しかし、建築に関わった人々へのインタビューや、建設中の部分にもカメラが入っていくという上では非情に貴重な映像ので、これからサグラダ・ファミリアへ行こうと考えている人、すでに行ったことがある人、どちらにも必見です。ただ、かなり渋いドキュメンタリーで、エンタテインメント映画しか観ていない人には、退屈かもしれません。

対照的な2人の彫刻家へのインタビュー

それではこの映画の見どころを紹介しましょう。まずは、インタビュー。この映画の中でも何度も登場し、かなり大きく取り上げられているのが、我らが日本人彫刻家・外尾悦郎氏です。1978年からサグラダ・ファミリアの建築に関わり、現在は主任彫刻家。彼の作による彫刻があるのは「生誕の門」です。流暢なスペイン語で製作のマインドを語るのですが、それがいちいちカッコいい! いや、すばらしい方です。さて、外尾氏は、ガウディのマインドを体得しようと自らカソリックに入信しましたが、それと真逆ともいえるのが「受難の門」の彫刻家ジョセップ・マリア・スピラックス氏です。無神論者を公言し、ガウディの曲線とは反対に直線的なラインで、門を飾る彫刻を作りました。賛否両論ありますが、かなりインパクトが強い彫刻です。

ガウディが考えたものではない、現代の職人の腕の見せどころ

ガウディが残した図面や模型の大半は、スペイン内戦で無くなってしまいました。そのため、大まかな建築部分はガウディの考えた通りに再現できても、細かい装飾に関してはそれぞれの担当者がかなり自由な解釈で行っていることが、これらのインタビューでわかりました。教会内部のステンドグラスは、ずいぶんモダンでカッコいいのですが、それも担当者のインタビューで、彼のスタイルであることがわかります。つまり、ガウディの偉大さばかりが取り上げられていますが、実はサグラダ・ファミリアは、現代の職人たちの腕を見る場所でもあるのです。そんなことが、この映画を観ていると見えてきます。興味ある方は、ぜひご覧ください。