スペインのクリスマスの風物詩「ベレン」

クリスマスに街を飾るものといえば、クリスマスツリーやイルミネーションを思い浮かべる人が多いでしょう。でも、カトリックの国スペインでクリスマスに欠かせないものは、クリスマスツリーではなく「Belen(ベレン)」と呼ばれる人形です。これは、スペインだけではなくカトリックの国の伝統的なクリスマス飾りで、日本でも教会やカトリック系の大学などで見ることができます。日本で以前私が働いていた職場でも、クリスマス前になるとこのベレンが飾られていたのですが、当時はその意味など全然わかっていませんでした。

教会に飾られたイエス・キリストの誕生のシーン 教会に飾られたイエス・キリストの誕生のシーン

イエスの生誕のシーンを再現

ベレンとは、スペイン語でキリストが生まれた町ベツレヘムを指します。キリストがベツレヘムの馬小屋で生まれた様子を人形で再現したものもベレンと呼ばれ、その歴史は13世紀のイタリアまで遡ります。最もシンプルなものは、お父さんである聖ヨセフと聖母マリアと幼子イエスの「聖家族」だけの人形。そこに誕生を祝うためにイエスを訪ねた東方の三賢者や天使、羊飼いや牛、羊の像が加わり、大掛かりなものになるとジオラマ式に町全体が描かれるものもあります。ベレンは各家庭のみならず、教会や役所、お店のディスプレイや広場などに飾られ、手のひらに乗る小さなものから実物大の人間の大きさまで、人形のサイズも様々です。

クリスマスマーケットで売られるベレンのパーツ

スペインのクリスマスマーケットで売られるものの大半は、このベレンのパーツです。マドリードではマヨール広場、バルセロナではサグラダ・ファミリアの受難の門の前とカテドラル前でマーケットが開かれ、多くの市民が足を運び、にぎわいます。主役のイエスやマリア、東方三賢者など聖書の登場人物をはじめ、羊飼いや農民、羊や馬といった動物の様々な人形、馬小屋、木などの模型が店頭を埋め尽くします。地面に敷くための苔の生えた土まで売っているにはビックリ。きっと各家庭ごとに毎年ベレンの登場人物が増え、少しずつジオラマが大きくなっていくのでしょう。

ベレン巡りもクリスマスの楽しみのひとつ

あちこちに飾られたベレンを見てまわるのは、この時期のスペインの人々の楽しみのひとつ。マドリードでは、プエルタ・デル・ソルにある市庁舎をはじめ、市内にいくつものベレンが展示されます。ベレン巡りの散策マップも作られ、地方からこの時期観光に訪れたスペイン人もベレン巡りを楽しみます。バルセロナでベレンを見るなら、カテドラルの回廊やサン・ジャウマ広場に行ってみましょう。サン・ジャウマ広場のベレンは毎年デザインが変わり、時にはあまりに前衛的で、市民のブーイングが出ることもあります。クリスマスの時期にスペインを訪れたら、あちこちに飾られているベレンに注目してみてくださいね。