1階が応接、2階が家族のためのプライベート空間に

「ガウディの作品群/2017年から公開されているカサ・ビセンス」前編からの続きです。内部で注目してほしいのが、まず1階にある「男性の間」。ここは男性達が喫煙をして語らう部屋で、玄関を通らなくても、部屋から直接外に出られるようになっていました。天井にはモスクなどのイスラム建築で使われる鐘乳石飾り風のデザインがされ、エキゾチックな雰囲気を醸し出しています。隣の広めの部屋は食堂です。このように1階はお客を迎える、応接空間でした。これに対して2階は家族が暮らすプライベートな場所で、「女性の間」はその名の通り女性たちが人目を気にせず語らうためのところでした。男性の間とは異なりエキゾチックさはなく、丸天井には空と飛ぶ鳩を描いた天井画があります。

ガウディは建物が平面的にならないように、角に装飾をつけて変化を出している ガウディは建物が平面的にならないように、角に装飾をつけて変化を出している

屋上と内部装飾

屋上には、モノトーンのタイルが交互に配置され、積み木のような形をした煙突があります。この時代、各家庭には電気による暖房などはなかったため、屋上に煙突は必要なものでした。現在、屋上で見学できるのは半分ほどのスペースです。建物内の壁に描かれた絵や内部装飾、家具などもガウディが手がけ、建物だけでなく全体のコーディネートも手がけていました。鳥や植物は、19世紀末に流行った東洋趣味の影響でしょう。

ビセンスの死後、家は人の手に渡る

建物は1888年に完成しましたが、それから10年も経たない1895年に注文主のビセンスは死去。家は売りに出されてしまい、1899年に医師のジョベルが購入します。以降、代々この家はジョベル家のものだったのですが、その間に改築や増築がなされます。世界遺産登録後の2007年になり、この家は売りに出されますが、高額なためなかなか買い手はつきませんでした。ようやく2014年に銀行のモラバンクがこの邸宅を購入。一般公開の準備を進め、2017年にオープンの運びになりました。

チケットの購入方法は?

直接でも空きがあれば入ることができますが、基本的にはチケットは事前にネット購入です。これは20分ごとに区切られた時間指定で(自分で空きを見て選ぶことができます)、必ずその時間に入場しなければなりません。ネット購入後、メールで送られて来たチケットをプリントアウトするか、スマホやタブレットでチケットのQRコードを提示し、機械で読み取ってもらいます。公営ではないので、入館料金はとちょっと高いですね。1日2回、英語によるガイドツアーもあります。ガウディ建築の中では初期のものなので、あまりガウディらしさは感じられないかもしれませんが、逆にそれが新鮮に感じられるかもしれませんよ。時間があったら、バルセロナ観光の合間に立ち寄ってみてください!
●カサ・ビセンス Casa Vicens
[場所] C. de les Carolines 20-26
[開館時間] 10:00〜20:00(入館は19:00まで)
[料金] 16ユーロ(約2000円)、英語ガイドツアー19ユーロ
[最寄駅] 地下鉄3号線フォンタナ駅から徒歩5分
[URL] casavicens.org