ガウディ建築の宝庫、バルセロナ

スペインのバルセロナというと、サグラダ・ファミリアに代表されるアントニ・ガウディの建築物に行ってみたいという人は少なくないでしょう。天才建築家ガウディの作品のほとんどはバルセロナにあり、世界遺産に登録されているものだけでも7つ。それ以外のものも見たいとなると、ガウディ建築を見るだけで観光に数日かかってしまうほどです。さて、そんなガウディ建築の中にグエル邸、グエル公園と「グエル」の名が付いているものがあります。この「グエル」とはガウディの最大のパトロンでもあったエウゼビ・グエルのこと。ガウディが有名になる前からその才能を見抜き、多くの建築を依頼したバルセロナ出身の実業家です。今回は、そのグエルとガウディが関わったバルセロナの建築をめぐる旅にお連れしましょう。

グエルが築いた工業団地コロニア・グエルにある、エウゼビ・グエルの像 グエルが築いた工業団地コロニア・グエルにある、エウゼビ・グエルの像

19世紀末のバルセロナで財をなした実業家、グエル

エウゼビ・グエルは1846年生まれ。父親はキューバで富を得た大商人で、バルセロナに戻ってからはその資金を元に繊維工場や金属工場を作り、大成功しました。その後継者になったグエルは、24歳の時に当時の経済界の大物の娘と結婚。時代はおりしも、バルセロナに第二次産業革命の波が押し寄せていた頃です。グエルは父と義父の遺産や交友関係を引き継ぎ、繊維、金属、タバコなどの多くの近代的な工場を作り、鉱山や金融、運輸にも手を広げるなど、経済界で力を持つようになっていきます。また、政治の世界にも入り、1875年にはバルセロナ市議員に選出されます。

1878年、グエル、ガウディと会う

一方、ガウディは1852年生まれで、グエルよりも6歳下でした。グエルがガウディを見出したのは、実は地元バルセロナではなくパリ。1878年、パリ万国博覧会を訪れたグエルは、スペイン館の手袋店のためにデザインされたガラスのショーケースに目を留めます。それをデザインしたのが、ガウディでした。その作品が気になったグエルは、バルセロナに戻るとガウディに会い、まだほとんど無名だった若者(当時26歳)に家具のデザインなど小さな仕事をいくつか依頼します。ガウディはまだ建築士の資格を取得したばかりでしたが、ガウディはグエルの期待に応え、やがて大きなプロジェクトの発注を受けるようになるのです。(その2に続く)