住宅と社交サロンを兼ね備えた家

「天才建築家ガウディを支えた実業家グエルとは? 2人のコラボ作品を見て回る」その2からの続きです。グエル邸の依頼があった当時、ガウディはサグラダ・ファミリアの建築も始めていました。ただし、グエル邸の方はふんだんな予算があり、ガウディは初めて、“ガウディらしさ”全開の建物を設計することができたのです。面積はビル3軒分で、大きな庭もなく、当時の豪邸としてはかなり小ぶりです。しかしグエルは、単に住むための家ではなく、友人たちを招いて演奏会や展覧会もできる社交サロンにもなるような家を求めていました。

グエル邸の中心部となる中央の大サロン。ここで招待客を招いて、コンサートなどのイベントが行われた グエル邸の中心部となる中央の大サロン。ここで招待客を招いて、コンサートなどのイベントが行われた

現在は世界遺産に登録されているグエル邸

芸術家たちのパトロンも務めていたグエルは、当時のブルジョアを代表する人物で、ガウディはその彼が輝くような邸宅をここに設計したのです。完成した1888年はバルセロナ万博が行われた年であり、街自体が華やいでいたことでしょう(万博会期中に竣工することをグエルは望んでいました)。ただし、このグエル邸は完成後には住居としてはそれほど使われませんでした。グエル一家は引き続き、グエル別邸に住んでいることも多く、1906年には現グエル公園内の家に引っ越してしまいます。やはりサロン的な要素が強かったようです。このグエル邸は世界遺産に登録されています。入場方法や邸内の解説は、別記事の「ガウディの作品群/初期の傑作グエル邸を徹底解説!」に書きましたので、そちらをご覧ください。
●グエル邸 [URL]palauguell.cat/en(英語) [開館時間]10:00〜20:00(11〜3月〜17:30) [休]月曜

グエルのワイナリーの建築も

グエル邸完成後、次にグエルがガウディに依頼したのは、なんとワイナリーでした。バルセロナ郊外、海岸沿いのガラフという町にあるもので、建築期間は1895〜1901年です。グエルはブドウ園も持っていて、ここでワインを瓶詰めにしてキューバに輸出していたのです。手広く事業をしていたんですね! もっともこの建物はガウディ単独ではなくその助手との共同作品。そのためここに訪れる人はあまり多くないようです。この「ボデガス・グエル」、現在はその一部がレストランとして営業もしています。(その4に続く)
●ボデガス・グエル [行き方]サンツ駅から近郊線で30分のガラフ下車。[URL]www.gaudigarraf.com/en