失敗に終わった大プロジェクトの跡「グエル公園」

「天才建築家ガウディを支えた実業家グエルとは? 2人のコラボ作品を見て回る」その3からの続きです。さて、ガウディ設計のワイナリー完成前に、すでにグエルは次の大きなプロジェクトを計画していました。バルセロナの北の外れ、丘の斜面に自然と調和した庭園都市を作り、そこを分譲住宅地にしようと考えたのです。これが現在市民の憩いの場であり、また世界遺産に登録されている「グエル公園」です。ガウディ建築の中でも人気のあるものの一つですね。60戸の分譲住宅が建てられる予定で、道路や広場、市場用の多柱式ホール、階段やベンチなどが整備されました。1900年から建設が始まりましたが、結果は大失敗。買い手がつかず、売れたのはグエル自身とガウディが購入(モデルハウスとしてあった)した2軒だけでした。

バルセロナ市街を見渡す北の高台にあるグエル公園。しかしもともとは公園ではなかった バルセロナ市街を見渡す北の高台にあるグエル公園。しかしもともとは公園ではなかった

グエルとガウディは公園内に引っ越しを

グエルはそれでも1906年に、旧市街のグエル邸からこの公園内の家に引っ越しをしています。また、ガウディも同年に父と姪を連れて移り住みます。資金難から、庭園都市建設は1918年にグエルが亡くなると、その工事は完全に中止されます。1922年、この住宅地は公園としてバルセロナ市に寄付されました。このグエル公園については、別記事「ガウディの作品群/市内を見下ろす高台にあるグエル公園」に入場方法や見どころについて詳しく書いてあるので、興味がある方はそちらを参照ください。入園は時間で区切った入場制限があるので、時間指定のチケットを事前にネット購入することをおすすめします。
●グエル公園 [開園時間]8:00〜21:30(10月末〜3月末は8:30〜18:00)[URL]www.parkguell.cat/en/

未完に終わった「コロニア・グエル教会」

ガウディとグエルの最後のプロジェクトが、これから紹介する「コロニア・グエル教会」です。バルセロナから北に20kmのサンタ・コロマ・ダ・サルバリョ市に、グエルが労働者のために建設した工業団地がありました。グエルは経営する繊維工場の労働者たちが近くに住めるように、敷地内に労働者の家族のための住居や学校を作ったのですが、その一環として教会をガウディに依頼したのです。それは1898年のことでしたが、ガウディは様々な構造上の実験を試み(ちょうどサグラダ・ファミリアとの並行仕事でした)、実際に建築を始めたのは10年後の1908年でした。(その5に続く)