建設が始まったが、6年後に中止に

「ガウディの作品群/バルセロナ郊外にあるコロニア・グエル教会」その1からの続きです。さて、ガウディ円熟期から晩年にかけての作品となるこの教会には、のちにサグラダ・ファミリア聖堂で採用される建築技法が試されています。当初のプランでは、半地下の礼拝堂の空間の上に教会堂が建つ予定でした。建設は礼拝堂から始まりますが、次第にガウディの心はサグラダ・ファミリア聖堂で占められ、ここを弟子に任すようになっていきます。遅々として進まない教会堂建設のほか、グエルの高齢や病気(当時68歳、ガウディは62歳)、第一次世界大戦の影響による資金不足などがあり、1914年に教会の建設の中止が決まります。グエルはその4年後の1918年に現グエル公園内の自宅で亡くなりました。

ユニークなデザインの半地下の教会

さて、それではこのコロニア・グエル教会を見てみましょう。と言ってもガウディの生前に完成しているのは半地下の礼拝堂部分(現在は教会)だけです。しかし、中に入ってみると、そのユニークな空間に目を見はることでしょう。玄武岩とレンガで構成された柱は、地上に建つ教会堂を支える予定だったのでがっしりとしていますが、不規則に斜めになっていたり、曲線を感じさせたりと、ガウディらしさに満ちています。半地下が暗くならないように開けられた窓のステンドグラスが、この空間に豊かな光を送っています。

細かい部分にも目を止めてみましょう

教会へ降りていく入り口上部には、多くの破砕タイルの装飾があります。一見、それぞれには意味がなさそうですが、よく見るとキリスト教的なモチーフが示されています。例えば「魚」はキリストを意味します(聖書が書かれた古代ギリシャ語で「イエス、キリスト、神の、子、救世主」の頭文字を並べると「魚」のスペルになる)。柱廊の丸天井の要石の一つは、マリア、ヨセフ、イエスの聖家族のアナグラムになっています。他にも、始まりと終わりを示すアルファとオメガ、十字架、X十字架、クリスモン(XとPのアナグラム)などのシンボルが、教会の随所にあります。(その2に続く)

細かいモザイク装飾にも、キリスト教のシンボルが隠されている 細かいモザイク装飾にも、キリスト教のシンボルが隠されている