- 吉田 久美子
- スペイン(バルセロナ)在住。秘境・辺境、苦難を伴う旅が好きな、ヘタレなアウトドア派です。旅した国は80か国以上。世界のお酒と居酒屋をこよなく愛し、現在はガイドとして、日本のお客様にスペインのバル文化の素晴らしさをお伝えすべく、連日連夜バルを渡り歩いています。モットーは『人生は旅なのだ!!』です。
出発エリアをに変更しました。
バスク十字「ラウブル」が刻まれた菓子ガトーバスク
近頃、美食でその名を知られるバスク地方ですが、さて、いったいどんなところなのでしょうか。バスク地方とはバスク人が住み、バスク語が話される地域を指します。具体的には、ピレネー山脈をはさんでフランスの南西部からスペイン北部にまたがり、ビスケー湾に面した風光明媚な一帯がバスク地方と呼ばれています。そして、この地に住むバスク人たちは、独自の文化と言語を持つ、謎に包まれた民族なのです。
バスク人は、インド=ヨーロッパ語系の民族がイベリア半島にやってくる前からこの地に住んでいたと考えられ、バスク語はヨーロッパのどの言語グループにも属さない、起源が謎の言語とされています。世界でも最も難しい言語のひとつといわれ、悪魔がバスクの娘を誘惑するためにバスク語を習ったけれど、7年もバスクに滞在して覚えることができたのは『はい』と『いいえ』だけだった、なんていうジョークがあるほど。また、中世フランスにはなんとバスク語を勉強するという刑罰があったそうです。
バスク人の外見は他のヨーロッパ人と変わりませんが、遺伝的にも大きな特徴を持ちます。血液型でいうとO型が過半数を超えていて、残りをA型が占め、B型が極端に少ないのだそうです。さらに、全人類のほとんどがRhプラス型なのに対して、なんとバスク人の多くがRhマイナス型。言語と同様に、血液型でも世界的に珍しい民族なのです。私たちが知っている著名なバスク人には、宣教師フランシスコ・ザビエルや、革命家チェ・ゲバラがいます。
4つの羽を持つ風車のようなシンボルマーク「ラウブル」は、別名バスク十字とも呼ばれ、バスク地方でよく見かけます。また、赤地に白十字、緑のバッテンが入ったバスクの旗は「イクリニャ」と呼ばれます。大きな石を持ち上げたり丸太を斧で切る競技は日本のCMなどでおなじみですが、これはバスクの伝統的なスポーツのひとつです。スペインバスクの州都ビルバオのサッカーチーム「アスレティック・ビルバオ」はバスク人しか入ることができないという特殊なクラブですが、リーガ・エスパニョーラ創設以来1度も2部リーグに降格したことがありません。これはすごいことなんですよ!! バスク人が実にユニークな民族だということ、おわかりいただけましたか?
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