町の存続をかけた巨額の投資先は美術館

(その2から続く)ベルメオからバスク地方の中心地ビルバオまでは1時間少々、バスク鉄道ウルダイバイ線の始発駅から終点まで乗っていればいいので、気楽です。ビルバオに到着すると、これまで見てきた田舎のバスク地方とは大違い。都会でビックリします。人口は約35万人。しかしこの町は、1980年代には、工業の衰退やテロ、外国人労働者の流入で、産業構造の変質を求められていました。そこで目を付けたのが、町の観光化です。観光と言ってもいろいろあります。観光の目玉を何に持ってきたらいいのか。誘致したのがビルバオ・ゲッゲンハイム美術館です。総工費は1億ユーロ。町としては背水の陣の投資でした。美術館の設計は、ニューヨークのゲッゲンハイム美術館と同じ建築家のフランク・オーウェン・ゲーリーです。金属製の外観は見たこともないような曲線で構成され、美術館の前には、対照的に植物でできた「クマさん」が配置されました。

スペインのバスク地方は見所満載! グルメも大満足!(その3)「ビルバオ編」 スペインのバスク地方は見所満載! グルメも大満足!(その3)「ビルバオ編」

見る者を圧倒する美術館

ビルバオ・ゲッゲンハイム美術館は見る者を圧倒します。「すげえ!」。こんなため息が、いったい何か国語で交わされているのでしょうか。開館3年で入場者数は400万人を超え、その経済効果は1.7億ユーロにも及ぶと試算されました。建設費などあっという間に回収できたのです。これを世界は、「ゲッゲンハイム効果」として名づけ、町の再生をになうアートの評価がグーンと高まったのです。かつて造船所があった場所には、エウスカルドゥナ国際会議場・コンサートホールが建設されています。市内にも、さまざまなアートが散りばめらています。流線型のモダンなビルバオ・トラムが走り、メトロの入口も流線型の透明な屋根を施しています。2013年には41階建てのイベルド・ローラタワーが建設され、町のランドマークになりました。スペインを代表する建築家のサンティアゴ・カラトラバは、ビルバオ空港や、湾曲形状の美しいスビスリ橋を手掛けています。

アートの町でグルメを堪能

こうしてビルバオは、町そのものがアートとなり、多くの観光客を魅了しているのです。もちろん食事もおいしいですから、観光地として人気が出ないはずがないですね。こうして「アートとグルメのバスク地方」と呼ばれるようになったのです。ビルバオのグルメでおすすめなのは、旧市街の「Casco Viejo(カスコ・ビエホ)」です。サン・セバスティアンと比べると安いとの評です。バルにはからりと揚げた海老フライやチーズを使ったおつまみ、定番のコロッケやグラタンなど、おいしい小皿料理やピンチョスがずらり。独創的な料理を出すので有名なのが『Gure Toki (グレ・トキ)』。この店では赤ワインをコーラで割った「カリモーチョ」がよく出ます。川を渡って、メトロMoyua駅の近くにあるのが『La Vina del Ensanche(ラ・ビーニャ・デル・エンサンチェ)』。生ハムとキノコとフォアグラのポテトクリームは絶品です。ぜひご賞味あれ。