18世紀の町並みを一望

スペインのほぼ最西端、ポルトガルに近い海沿いの街カディス。私はアンダルシア地方のなかで一番好きな町です。旧市街と新市街に分かれており、旧市街は18世紀の近世ヨーロッパに迷い込んだかのよう。古い建築物と陽気で社交的なカディスの人たちであふれています。ここへ来たら街を一望できるタビラの塔へ登ってみましょう。この塔は、1717年にアンダルシアの州都セビージャから貿易のための通商院(スペインにおける植民地統治機関のひとつ)がカディスに移転され、貿易が盛んになった時代に築かれたものです。その時、ドン・アントニオ・タビラというカディスの最初の警備員が、アメリカから船が往来するのをこの展望台に登って確認していたと言われています。タビラの塔は、1階と2階に分かれており、その上に展望テラスがあります。旧市街地のなかでは最も高い45mのテラスからは、18世紀の町並みがそのまま残っているカディス旧市街を360度眺望できます。開館時間は10:00~18:00(10月〜4月)、5月から9月は夜の20時まで開いています。入館料6ユーロを払い、階段で一段ずつあがっていきます。

住宅地にあるタビラタワー。周りの建物に隣接しているので、全貌を撮影するのがむずかしい。 住宅地にあるタビラタワー。周りの建物に隣接しているので、全貌を撮影するのがむずかしい。

スペイン初のカメラ・オスクーラ

最初に案内されるのが、「カメラ・オスクーラ」が置かれたと部屋です。タビラの塔は、この装置をスペインで最初に設置した施設としても有名なのです。部屋に入ると、照明をすべて落とします。すると、ピンホールカメラのような半球形のスクリーンにカディスの街の大パノラマが。解説は、スペイン語だけでなく英語もあるので安心です。カメラ・オスクーラとは、10世紀頃から芸術家たちが素描を描くために使っていた装置です。現在のカメラの原型になったといわれています。構造は簡単。小さな暗室のなかに小さな穴が開いており、この穴から内部に光が入ると対になる壁に上下が逆さまになった像が映し出されます。

近世の芸術家たちの手法

カディスの企業家ベレン・ゴンザレスがイギリスのエンジンバラを訪れた際に、カメラ・オスクーラの存在を知りタビラの塔に取り入れました。このカメラ・オスクーラを使って芸術家たちは被写体を紙に描写し、数々の芸術作品を生み出していきました。近世の芸術文化に触れられる展望台なのです。