スペインで最も美しい村「アルバラシン」

アラゴン州のテルエルから西に40kmほどの、山々の懐深くに抱かれた小さな村アルバラシンは、厳密には「鷲の巣村」とは呼べないかもしれません。しかし標高1200mの断崖の上に立ち、グアダラビアル川の深い峡谷に囲まれた天然の要塞として、幾世紀もの間守られてきました。1961年に国定記念物に指定され、2005年には「スペインで最も美しい村」に選ばれています。現在はユネスコの世界遺産への登録を申請しているところです。村の背後の山頂には古いムーア人の砦が残り、11世紀から造られた城壁が砦まで続いています。14世紀のころは、村全体が城壁で囲まれていました。

南欧の鷲の巣村を訪れる旅 ぞの2「スペイン・断崖に立つアルバラシンとクエンカ」 南欧の鷲の巣村を訪れる旅 ぞの2「スペイン・断崖に立つアルバラシンとクエンカ」

ノタルジックな村をさ迷う

石造りの家々が山肌にへばりつくように並ぶアルバラシンの村はブーメラン状に造られ、狭くて急な石畳の道が複雑に入り組んでいます。特徴的なのは家々の壁の色で、褪せたような赤い色の漆喰の壁に木のベランダや窓、梁が取り付けられています。その色彩のせいなのか、村全体にどこかノタルジックな雰囲気が醸し出されていて、狭い路地を歩いているとファンタジーの世界に迷い込みそうな気分になってきます。そうそう、この村を訪れたら、お土産にはアルバラシンの名産である羊の乳で作ったチーズをお忘れなく。

断崖絶壁の上に築かれた不落の町「クエンカ」

天然の要塞都市クエンカは、9世紀にイスラム教徒によって、フカール川とウエカル川の侵食が造り出した断崖絶壁の上に築かれました。不落の防衛都市としてその堅固さを誇ったクエンカの旧市街は、二つの川に挟まれた、幅200〜300mの狭い台地に家々がひしめき合っています。現在旧市街に残る歴史的建造物は、12世紀にキリスト教徒がこの町を奪取した後に造られました。対岸から崖の上の旧市街を眺めると、よくもまあこんなところに町を造ったものだと感心します。外部の敵からの攻撃を防ぐためとはいえ、ここで生活するのは大変だったことでしょう。

高速鉄道AVEが開通し、アクセスも容易に

2010年に高速鉄道AVEがマドリード・バレンシア間に開通し、クエンカにも停車することになったので、マドリードからの日帰りが容易になりました。しかし、できればクエンカの町で1泊するといいでしょう。16世紀の修道院を改装した国営ホテル「パラドール」は対岸の旧市街の眺めも素晴らしく、クラシックな雰囲気を堪能できます。また春のセマナサンタ(イースター)には全土で「プロセシオン」と呼ばれる行列が行われますが、クエンカのプロセシオンは国際観光行事に認定されるほど盛大なものです。大勢の市民が熱狂する様子を是非見てみたいですね。