スペインを代表する美術館

「スペインの首都マドリードを代表する」というより、「スペインを代表する」といっていい美術館が、プラド美術館です。フランスで言えば、ルーブル美術館に値するようなものでしょうか。西洋絵画が好きな人なら、見逃せない美術館ですね。マドリードの陸の玄関口ともなるアトーチャ駅周辺には、このプラド美術館の他にも、ティッセン・ボルネミッサ美術館、ソフィア王妃芸術センターがあり、この3つを「3大美術館」と呼んでいます。今回紹介するのは、もちろんその筆頭でもあるプラド美術館です。

スペイン黄金期の王家のコレクションを展示

ピカソの「ゲルニカ」などがあるソフィア王妃芸術センターが、20世紀以降の近代絵画の展示が中心なのに対し、プラド美術館は王家のコレクションを基にしているので、それ以前の中世から19世紀までの油彩画を中心とした展示になっています。とりわけスペイン黄金期の16〜17世紀の絵画が充実していますね。スペインの3大画家と言われるベラスケス、ゴヤ、エル・グレコの代表作もここにあります。建物自体は18世紀末に国王が博物館として設計させたものが、のちに美術館に変更されて「王立美術館」として1819年に完成。1869年の革命後に、現在の「プラド美術館」に改名されました。

スペイン国内だけでなく、フランドル絵画も

プラド美術館のコレクションは約3万点あり、そのうちの約1300点が常設展示されています。展示品の多くは、地上階と1階(日本式では2階)にあります。スペイン絵画のほかにも、フランドル地方(現ベルギー)やイタリアの絵画も充実しています。その理由は、ベルギーが独立する以前のフランドル地方は、スペイン・ハプスブルグ家の所領だったからです。最盛期のスペイン国王は、神聖ローマ帝国皇帝も兼ね、西ヨーロッパの半分近くを治めていました。なので、これほどのコレクションを手に入れることができたのです。

宮廷画家として活躍したベラスケス

それでは、プラド美術館で必見の絵画を紹介していきましょう。まずはスペイン絵画から。三大画家の一人、ディエゴ・ベラスケスは宮廷画家として17世紀前半に活躍した人物です。彼はまた、王室の役人としても重職を担っていました。肖像画以外にも、王宮の装飾も手がけていたので、彼の作品の1/3は今もプラド美術館にあります。プラドにある代表作には、『ブレダの開城』(1634-35)、『ラス・メニーナス(女官たち)』(1656)、『マルガリータ王女』(1660)などがあります。『ラス・メニーナス(女官たち)』には、ベラスケス自身も描きこまれています。(その2に続く)

『ラス・メニーナス(女官たち)』の中央にいるのは、5歳の国王の娘。後ろの鏡には、絵の鑑賞者と同じ位置にいるはずの国王夫妻が写っている 『ラス・メニーナス(女官たち)』の中央にいるのは、5歳の国王の娘。後ろの鏡には、絵の鑑賞者と同じ位置にいるはずの国王夫妻が写っている