スペイン南部のマラガは観光客でにぎわっていた

スペイン南部、アンダルシア地方の中心地マラガは花の町です。道路の中央分離帯に花壇が飾られ、電信柱などにも花のバスケットが、そして橋の欄干にも花が彩られています。南国を思われるヤシのような背の高い街路樹が植わり、観光客をもてなす工夫がさりげなく演出されているのです。観光客にとっての町の中心地はモリーナ・ラリオ通りです。僕が行った10月には、北欧の若者たちが太陽を求めてきたかのように大挙していました。この通りを奥に入っていくと、レストランやお店が集まっており、大聖堂の先にマラガ・ピカソ美術館、さらにはピカソの生家、14世紀の城塞やヒブラルファル場、イスラム時代の城塞「アルカサバ」など、歩ける範囲内に見所が集まっているのでとても便利です。石造りの建物も、明るい陽光の中でも情緒があります。夜になると、今度は中心地から西側に入った路地も混雑し始めました。レストランやバーが集まっているようです。

盛り上がるワイン居酒屋

なんとなく、人の流れで歩くのも楽しいものです。一軒の店では、人がひっきりなしに出入りしています。中は大混雑のようですが、それでも入ってみました。古びた店内は右手にかなり長い年代物のカウンターが設えられ、カウンターの下にはきれいなスペインレンガで装飾されています。出入り口が三カ所あるので、余計に出入りが激しく感じられます。椅子はなく、全員が立ったままワインやビールを片手に談笑していました。カウンターの中には白いワイシャツ姿の従業員が数名います。背後に大きな樽が何個も並べられ、従業員がひっきりなしに、樽からワインをグラスに注ぎます。つまみもあるようで、ゆでたハマグリやエビ、ムール貝をつまみに一杯やっている人たちもいます。そしてみんな盛り上がっています。

「アンティグア・カーサ・デ・グアルディア」のワイン樽 「アンティグア・カーサ・デ・グアルディア」のワイン樽

ワイン居酒屋で海外旅行の夜を愉しむ

従業員を呼んで、大好物のムール貝の塩ゆでと、マラガ(ワイン)を注文しました。甘口のワインです。もともと糖度の高い品種のぶどうを、降水量の少ない時期に天日で干して甘みを凝縮させ、ゆっくりと時間をかけて絞った果汁でつくられるのです。言ってみれば干しブドウワイン……それがマラガなのです。もともとは白ワインなのですが、熟成期間によっては赤ワインのような色合いのワインとなります。店の名前は「アンティグア・カーサ・デ・グアルディア」。1840年オープンの超有名店でした。日本はまだ江戸時代、黒船が来る前から、人々が集い飲んでいるのです。酒のあまり強くない妻も、「飲みやすい!」と進みます。ムール貝を手で取って、口で掬うようにして食べます。170年も続く店の雰囲気や賑やかなお客のしゃべり声もいいですね。ゆっくり飲みます。こうしてマラガの夜が更けていきます。まさに海外旅行の楽しみですね。