秘かに人気!!丘の斜面に開かれた小さな村

ポルト・デ・ソーイェルからは、路線バスかタクシーで海沿いを南西に向かいます。崖に刻まれた海沿いの道を行くのですが、右手に切り立った断崖と真っ青な海の絶景が広がります。「断崖の先のほうに見える一軒家はレストランなんだよ」とタクシーのドライバーが教えてくれました。目指すのはデイア(Deia)という小さな村。丘の斜面に蜂蜜色の石造りの家々が建っていて、オレンジやレモン、オリーブの木々や糸杉が家々に添うように生えているかわいらしい村です。村の中を歩いていると、キリストの受難のシーンが描かれたタイルにたびたび出くわします。絵をたどっているうちに丘の上の教会にたどり着き、前は海、後ろは岩山の絶景にしばし言葉を失います。

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極上隠れ家的ビーチと絶景の宿

デイアの丘から、道案内の看板に沿って海に向かってひたすら降りていくと、やがて小さな入り江に出ます。崖を切り開いて作った、石と黒い砂の狭いビーチですが、海の水は本当にきれい。夏は海の家のレストランが人気です。さて、お宿はここデイアで取ることにしましよう。丘から幹線道路をはさんだ山側におすすめの宿が2軒あります。贅沢に過ごすなら「ラ・レジデンシア」。オリエントエキスプレスのホテルで、テラスからデイアの村が一望できます。けっこう急な道を上ったところにあるB&B「ペンション・ミラマール」は、デイアの村から海まで見渡せ、デイア一眺めのいい宿です。

ショパンが「雨だれ」を作曲した修道院

二日目の朝をゆっくりと過ごし、デイアから目指すのはバスで15分の村バルデモサ(Valldemossa)。ショパンが恋人の女流作家ジョルジュ・サンドと不倫の逃避行先としてひと冬を過ごし、滞在中に名曲「雨だれ」を作曲したことで、この村は一躍有名になりました。ショパンたちが滞在していたカルトゥハ修道院は現在一般に公開されていて、ふたりが借りていた部屋には彼らにまつわる品々が展示されていています。肺の病気だったショパンは転地療養のためにやってきたそうですが、ここで冬を過ごしたら気が滅入るんじゃないのかな、と思わずにはいられない、ひんやりとした広い修道院です。

中世にタイムスリップしたような村バルデモサ

私にとって、バルデモサの魅力は、ショパンよりも美しい村のたたずまいにあります。修道院周辺は日帰りでやってきた個人の観光客やツアー客で大賑わいですが、メインストリートを離れて村の方まで足を踏み入れると、しんと静かなのに家々の前は植木や花で飾られていて、住んでいる村人の息遣いを感じます。この村で生まれたサンタ・カタリーナにちなんで、家々のドアにはカタリーナの生涯の物語を描いた絵タイルが飾られています。小さな路地に迷い込んでみたり、ボデガ(ワインの一杯呑み屋)で地元のワインを一杯引っかけたりしながら村の中を歩くのが、ここでの醍醐味といえるでしょう。のんびりと過ごしたら、バスでパルマに戻りましょうか。