- 【スペインのABガイド】 田中富子
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- スペイン・セビリア在住。2000年にたまたま訪れたセビリアに、2001年より在住。2006年5月、個人事業主のビザを取得。現在は、食品輸出入仲介業を中心に、フラメンコ留学と語学留学コーディネーター、通訳、翻訳業等、スペインと日本を橋渡しする日々。情熱がモットー。
スペイン・メリダ・世界遺産の現地ガイド記事
その僅かな部分しか残存していない現在でも、当時の昂然さが目に浮かぶ。
メリダに存在するもう1つの水道橋
メリダの旧市街地から少し行くとACUEDUCTO DE ROBO DE BUEY-SAN LAZARO(アクエデゥクト・デ・ロボ・デ・ブエイ-サン・ラサロ/ロボ・デ・ブエイ-サン・ラサロ水道橋)が目の前に現れる。もう1つの残存するロス・ミラグロス水道橋とは違ったストラクチャーを持っている。この水道橋によって、北部と北東部に存在する泉そしてその周辺の複数の川の水を都市の中心部へと運んでいたそうだ。現在残っているのは僅かな部分であるが、実際は約4キロにも続いていたという。
頂上部分にアーチが残っていたら、さぞかし壮大だったに違いない。
ほとんどの部分は地下に
水源部からしばらくの部分は水道管は地下を通っているそうであるが、アルバレガス川で土地が低くなっている一帯から高くアーチのようにせり上がり、そこから水道橋として現れる。現在そのアーチ部は無くなっており3つの高柱しか残っていないが、その高さには目を見張る。アーチが残っていたらさぞかし見事であったに違いない。柱上部はコウノトリの棲家になっており、実にのどかな雰囲気だ。柱の高い部分はなんと15メートル弱もあるそうであるが、これでも土地の高さが上昇したということから当時はもっと高かったということになる。
橋の傍に残るローマ風呂跡。紀元前25年くらいとされている。
傍にはローマ風呂跡が
この水道橋傍にはローマ風呂が存在し、水の恩恵を十分利用していたことがわかる。ただしこのローマ風呂は、近くのCIRCO ROMANO(ローマ円形競技場)にて行われるイベントに訪れていた上流階級層のみが利用していたというから、彼等は実に優雅な生活をしていたに違いない。水源地から地下を通していた管には、99もの灯り取りが用意され通気も行われていた。その上、4つの大空気孔を持ち水の監視と清掃を行っていた。中に入れる階段も残っているそうだ。
建築技術の秀抜さを実感。
どこまでも続く水道橋
現在でもアルバレガス川上を渡ってその偉力を静かに主張し続けている水道橋は、その後中心部へと向かっていた。それはCASA DEL ANFITEATRO(アンフィテアトルムの家/アンフィテアトルム傍に位置)近くでも水管跡が見つかっており、また、アンフィテアトルムの家では水管の配分が見れるという。ローマ人の水道技術の芸術をたっぷりと実感することができる。そこにはロマンがあり訪問する者を躍動させる。
現在でもアルバレガス川を横断する水道橋。その姿は実に威儀がある。
関連情報
■ACUEDUCTO DE ROBO DE BUEY-SAN LAZARO(アクエデゥクト・デ・ロボ・デ・ブエイ-サン・ラサロ/ロボ・デ・ブエイ-サン・ラサロ水道橋)
住所:AVDA. JUAN CARLOS I, 1, MERIDA
電話:924 00 49 08
HP:http://www.consorciomerida.org/conjunto/monumentos/sanlazaro
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2014/01/22)
※渡航前に必ず現地の安全情報をご確認下さい。http://www.anzen.mofa.go.jp/
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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