静寂の中に響く、サエタの歌声

その地区の信者たちは、教会からパソが出発するとき、到着するときを見守ります。集まる人の数は、教会前の広場を埋め尽くし、溢れかえるほど。正装している人も多く見られ、皆にとって神聖な日だということを実感するでしょう。おしゃべり好きなスペイン人たちも、このときばかりは静かにしています。小声でも話そうものなら、周りの人同士が注意しあうほど、厳かに行われるのです。また、ブラスバンドの演奏の他にも、サエタが歌われることがあります。サエタとは「矢」を意味し、パソのキリストや聖母マリアに捧げれる宗教歌です。バルコニーなどから歌われ、このときはブラスバンドは音を止め、皆が静かにその歌に耳を傾けるのです。フラメンコの要素の入った即興で歌われることが多く、アンダルシア地方では欠かせません。

誰もが天気を気にする、スペインのイースター・後編 誰もが天気を気にする、スペインのイースター・後編

「グアパ」と叫ぶ、マカレナ区の人々

カテドラルへの距離は各地域ごとに異なるので、パソの往復に何時間もかかる行列もあります。夜通し歩いているのも、見かけます。人気なのが、木曜の夜(金曜24時)に出発するマカレナ地区。私も2度ほど見に行ったことがあります。聖母マリアのパソが教会を出発するとき、誰かが「マカレナ!!」と叫ぶと、皆が「グアパ(美人)!!」と返し、姿が見えなくなるまで掛け合いが続いていました。マカレナの聖母マリアは悲しみに泣いているのですが、見守る信者達も涙していました。この時期にセビリアを訪れることが難しい人も、マカレナ区の教会に行けば常にその聖母マリア像を見ることができます。また、運がいいとセマナサンタの期間でなくても、パソを担いで歩く練習を見かけるかもしれません。地域の子ども達は、幼い頃から担ぐ練習しています。

都市の人々は、バケーションへ

実は、アンダルシア地方で盛り上がるプロセシオン(行列)は、バルセロナやマドリードといった都市ではさほど盛り上がりません。都市部でも教会によっては、信仰会によって行列が行われるところもありますが、規模は小さいです。セマナサンタは全国的に大型連休となるので、都市部の人々はこの週末を利用して旅行へ出かけるのが通常のようです。もちろんアンダルシアを訪れる人々もいますが、あえて海外旅行へ出かける人も。天気を気にするのは、何もキリスト教に熱心なアンダルシアの人々ばかりではないんですね。天気予報に注目のバケーションです。この時期は祝日になるので、店やスーパーは閉まります。観光客の方も地元カレンダーには気をつけた方がいいでしょう。