迷わずトレドをめざせ

スペインに行こうと決めたときに、スペインについて書かれた本をたくさん読みました。そして、その中の一冊にあった「トレドは美しい町である。『もし一日しかスペインにいられないのだったら、まよわずトレドに行け』といわれるくらい、スペインのすべてが凝縮した町である』(スペイン5つの旅/中丸明著)という一文が強く印象に残りました。フラメンコや闘牛、強すぎる陽光、一面のヒマワリ。私が持っていたスペインのイメージはその程度でしたが、それ以上にスペインらしさを残した町とはどんなところなのでしょう。どこよりも先にまずトレドに行かねば、と思いました。

マドリードからの日帰り旅行 その1【スペインを代表する古都トレド(前編)】 マドリードからの日帰り旅行 その1【スペインを代表する古都トレド(前編)】

ジョニー・デップの映画「ナインスゲート」の舞台

実は、その本を読むよりずっと前に、私はトレドの風景を見ていました。それはジョニー・デップ主演のサスペンス映画「ナインスゲート」で、ジョニー扮する書物の探偵コルソが、依頼を受けた本の捜査のためにトレドを訪れるのです。ジョニーが旧市街の迷路のような狭い路地を歩き続ける光景がちょっと赤っぽく煤けたように映し出されるのを見ながら、当時まだ訪れたことのないヨーロッパの古都の、中世から時間が止まったままのような街並みに怖さのようなものを感じたものです。

歴史の迷宮に迷い込む

マドリードから南に70km、スペインの中央に位置するトレドは、ゆったりと曲線を描いて流れるタホ川に三方を囲まれた丘の上に築かれた、天然の要塞都市です。6世紀に西ゴート王国の首都となり、711年にはイスラムの支配下に入りました。そして11世紀、レコンキスタ(国土回復)の戦いにおいて、トレドは再びキリスト教徒の国の首都に返り咲きます。トレドの旧市街には、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教の3つの文化が色濃く残り、城壁に囲まれた町の入り組んだ石畳の細い路地歩いていると、歴史の迷宮のなかに迷い込んだような気分になります。

マドリードからのアクセスはAVEかバスで

トレドはマドリードからわずか70km。日帰りで十分にその魅力に触れることができます。マドリードのアトーチャ駅からは高速鉄道AVEで30分ですが、AVEは本数が限られ、時間帯によっては売り切れてしまうこともあるので、できれば事前に予約した方がいいでしょう。トレドの鉄道駅から旧市街の中心ソコドベール広場までは徒歩20分くらいです。一方、バスは片道約1時間で30分おきに出ています。本数が多いので、帰りの時間を気にせずにトレドを歩きたい人にはバスをおすすめします。さあ、ではいよいよ美しい中世の迷宮に入ってみましょうか。(後編に続く)