全世界を仰天させたおばあさんの善意

あれは2012年の8月でした。スペインの田舎に住む一人のおばあさんの善意が、スペインはもちろんのこと、全世界を仰天させたニュースをみなさんは覚えていますか?アラゴン州のボルハBorja市にある教会のフレスコ画を、地元の80才になるおばあさんがよかれと思って教会の許可なく修復したのですが、それがかなりヘタクソな、原型をまったく留めない別ものになってしまったという「事件」でした。元は端正な顔立ちのキリストだったのが、どうみてもサル?のような生き物になっていて、私もニュースを見た時はさすがに笑ったものでした。

さすがスペイン、おばあさんが勝手に修復した教会の壁画が人気沸騰!! さすがスペイン、おばあさんが勝手に修復した教会の壁画が人気沸騰!!

スペインらしいゆるさ

このフレスコ画は、エリアス・ガルシア・マルティネスによって1910年に描かれた「この人を見よ」という作品で、いばらの冠を頂いたキリストが教会の柱に描かれていました。そして1世紀の時を経て、フレスコ画の表面が剥離してぼろぼろになっていたのを見かねたのが、この町に住むセシリアおばあさんでした。おばあさんは修復の専門家でもなんでもなかったのですが、思い立つや、教会の許可なく壁画の修復を勝手に始めます。ここがまずビックリその1です。ビックリその2は、おばあさんが修復作業を続けている間、教会の中の誰一人、それに気づかなかったことです。さすが我が愛するスペインです(笑)。

災い転じて福となす

笑っていてはいけませんね。そしてこの事件は世界中の知るところとなり、おばあさんは「史上最悪の修復」「歴史的な絵を台無しにした」と世界中から叩かれてしまい、一時は寝込んでしまったのだそうです。ところが、災い転じてというのでしようか、修復後の絵が人気爆発し「このまま元に戻さないでほしい」という嘆願の署名が数多く集まりました。また、この一連の報道によって教会を訪れる人が激増し、地元にも経済効果を生んだのです。おばあさんが修復した絵は、元の壁画のタイトル「Ecce Homoこの人を見よ」をもじって「Ecce Monoこのサルを見よ」と呼ばれ、キャラクターグッズまで登場しました。

壁画を見に行ってみよう

ボルハはサラゴサの北西70kmに位置し、サラゴサからテルパサTherpasa社のバスで行くことができます(所要45分)。古い城壁が建つ丘の麓に旧市街が広がり、14〜16世紀の歴史的建造物が点在しています。遠くにピレネー山脈を望むこの町はワインの名産地として知られ、ボルハのワインは原産地呼称のDOのカテゴリーを有しています。世界中の話題となったミセリコルディア教会の壁画を見て、キャラクターグッズをお土産にゲットし、そして美味しいワインを飲んでグルメも楽しめるという、サラゴサからのショートトリップはいかがでしょうか。私も近いうちに行ってみようと思います。