スペイン内戦で破壊された廃墟の町

2年ほど前に、スペインのアラゴン州にある、ガイドブックには載っていないような小さな町や村を巡ったことがありました。友人に勧められて訪れ、ひどく衝撃を受けたのがベルチテ(バルチテ)Belchiteという廃墟の町です。サラゴサの南東40kmに位置するこの町は、1937年8月24日から9月7日までの間、スペイン内戦の「ベルチテの戦い」の舞台となり、徹底的に破壊され尽くしました。ベルチテの新しい町はそのすぐそばに復興しましたが、破壊された廃墟の町並みは、その土地の人々によって今も廃墟のまま、歴史を後世に伝えるために、内戦の記録としてそのままの姿で残されています。

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ミステリースポットとして有名に

ベルチテは、ムデハル様式の美しい城壁に囲まれた町で、ふたつの修道院といくつかの教会を持ち、20世紀初頭のサラゴサ県で最も繁栄していた町のひとつでした。しかし、ベルチテの戦いによって壊滅し、兵士と民間人約6000人が数日の間に亡くなったそうです。人々の痛みに満ち、血塗られた過去を持つこの廃墟は、1960年代に完全に放棄されてからは、正体不明の怪音が廃墟内の建物から聞こえると噂になり、世界中の超常現象研究者がやってくる心霊スポットになりました。建物の中に影が見えたとか、失われた教会の鐘が夜中に鳴るとか、様々な幽霊話がまことしやかに語られたそうです。

戦争の悲惨さを目の当たりにする

入り口の門をくぐると、真っ直に通りが延び、その両脇に崩れた家々が並びます。正面の壁がそっくり落ちて中が丸見えになっている家、瓦礫の山、壁だけが残った家・・・。屋根の落ちた教会の壁には弾痕が残り、美しいフレスコとレリーフで飾られた教会のドームには爆弾が落ちた大きな丸い穴が開いています。崩れかけた鐘楼はムデハル様式の美しいもので、この町が繁栄していた往時が偲ばれました。ドームの穴から見える青空があまりにもくっきりと青過ぎて、乾いた空気があっけらかんとしていて、それが余計に戦争の悲しさや残酷さを際立たせていたように思います。辛い風景でしたが、自分の目で見ることができてよかったと思いました。

ベルチテの廃墟見学はガイドツアーで

ベルチテを訪れるならサラゴサからバスが出ています。私が行ったときは制限なく自由に廃墟内を歩くことができましたが、2013年からは、事前にインターネットでガイドツアーを予約して、約1時間15分のガイドツアーで見学しなければならなくなったようです。入場料は2014年現在6ユーロです。レンタカーでベルチテに行く場合は、ベルチテから北西に20kmほど行ったところにあるフエンデトドスFuendetodosという町にも立ち寄ってみるといいでしょう。ここはスペインを代表する画家ゴヤが生まれた町で、彼の生家が公開されています。またゴヤの版画を展示した「版画美術館」もあります。