日本とはだいぶ趣の違うヨーロッパの温泉

「湯治」と聞くと日本の専売特許みたいなイメージですが、お湯に浸かって体を癒すという習慣は、古代ローマの浴場の例を出すまでもなく、ヨーロッパでも古くから広く行われてきました。今でも各地に温泉場があり、ローマの大浴場の伝統を引き継いだような、お城のような豪華な建物の中に造られた保養施設から温泉というより温水プールと言ったほうがよさそうなものまで様々なスタイルがあります。しかし残念ながら、日本のような鄙びた風情を味わう温泉宿はないようです。

温泉大国である日本と同じくらい、古い歴史のあるヨーロッパの温泉。でも日本の湯治場とは、だいぶイメージが違います。 温泉大国である日本と同じくらい、古い歴史のあるヨーロッパの温泉。でも日本の湯治場とは、だいぶイメージが違います。

温泉より鉱泉、癒しより治療が目的の温泉施設

火山国日本では各地に高温の源泉が湧き出していますが、ヨーロッパの場合は高い水温の温泉はそれほど多くありません。なので温泉施設は、お湯に浸かってリラックスのんびりするより、医師の指示により、一定時間湯につかったり、シャワーを浴びたり、鉱泉を飲んだりすることで、病気の治療やリハビリを目的とした医療行為が行われる場所と考えられているところが少なくありません。タオル片手に浴衣で温泉に向かうのが日本だとすれば、カルテ片手にバスローブで温泉に向かうのがヨーロッパです。

ヨーロッパの温泉では水着は必携

もちろんリラックスするためにお湯に浸かる温泉もたくさんあります。のんびりお湯に浸かっている人もいますが、水遊びに興じる子供たちや、普通に泳いでいる人もいて、こちらは一見すると温泉というより温泉プール。当然みんな水着を着て入ります。ドイツのバーデンバーデンなど、前述の医療施設としての温泉施設と温泉プール両方を備えた、温泉リゾートとして知られている街もあります。

スイスのロイカーバードでの温泉体験

筆者が訪れた温泉はスイスのロイカーバートというアルプスの中にある山岳リゾート。その歴史はローマ時代に遡るという由緒ある温泉で、世界中の著名人も湯治に訪れたところだそうです。街中に50度を超える源泉が湧出しているとのことで、どんな温泉街かと期待して訪れるましたが、そこにあったのは、豪華な温泉プール。テルメと呼ばれる公共の温泉場は、建物も大きく清潔で、マッサージやスキントリートメンなどのスパ施設も充実。屋外と屋内に巨大なプールがあります。お湯の中で寝転んで泡にまみれたり、打たせ湯があったり、情緒はありませんが十分にリラックスすることができました。なにより街を取り囲むアルプスの山並みがすばらしい。こういう温泉の楽しみ方もあるのかと、印象に残りました。