- 岩澤里美
- チューリヒから、スイスの情報やヨーロッパ各地で取材した話題を日本向けに執筆中。機内誌、育児雑誌、環境系雑誌、カルチャー系サイト等で連載多数。チューリヒのしっとりした街を楽しみつつ、自然にもふれて「健康第一」で生活しています。人が気づきにくい場所やお店などを見つけるのが得意です、どうぞお楽しみに。
出発エリアをに変更しました。
Jakob's Basler Leckerly店の紙製の箱に入ったバーズラー・レッカリー「オリジナル風味8枚」(約750円)。箱の黒い模様は、バーゼル州のワッペンです
スイス北西部のバーゼルは時計の見本市「バーゼルワールド」や現代アートフェア「アート・バーゼル」など、世界最大規模のイベントで国際的によく知られた都市です。
スイスの各地方(各州)には名産があり、バーゼルの名産・名物と聞いてスイス人が最初に思い浮かべるのは、写真のお菓子「バーズラー・レッカリー」でしょう。
小麦粉と蜂蜜と砂糖のクッキーに、粗く砕いたアーモンドとヘーゼルナッツ、オレンジピールやレモンピール、そしてシナモン、チョウジ、ナツメグなどの香辛料を混ぜたお菓子です。蜂蜜と砂糖を温め、材料を次々に入れたら生地の出来上がり。これを平らにしてオーブンで15〜20分焼き、アイシングで仕上げるのがポイントです。そして、3.5センチ×5センチなど必ず長方形にカットします。
レッカリーは、ほっぺたが落ちるくらいおいしい小さいもの、という意味です。もともとはクリスマスから年始に食べるものでしたが、いまでは1年を通して作られ、全国で販売されています。お茶菓子として、またプレゼントにもぴったりで人気です。
包装がいろいろです(Jakob's Basler Leckerly本店にて撮影)
このお菓子は、独特の香辛料の風味が特徴的です。香辛料のお菓子の起源は中世にさかのぼります。11世紀、東洋からヨーロッパに運ばれた様々なスパイスを裕福な修道院も入手し、それまでの蜂蜜の焼き菓子に加えるようになったといいます。その後、修道院から町へと香辛料を混ぜたお菓子作りが広まっていったそうです。最初のバーズラー・レッカリーのレシピができたのは17世紀。材料を荒く刻む点は、当時から変わっていません。
スイス全国の特産について解説している協会によると、バーゼルで、バーズラー・レッカリーの工場での生産が始まったのは1800年代前半で、当時は20以上の工場があったそうです。いまは主要メーカーは3つになりました。
その中で最も古いのが「ヤコブ(Jakob)」です。ヤコブは、レッカリーやほかのクッキーを工場で作り、直営店で販売したり、デパートなどに卸しています。1753年にカフェとして始まり、レッカリーの製造で有名になりました。
店内には箱入り、缶入り、柄もキュートなものからシックなものまであり、見ているだけで楽しくなります。
袋入りがずらりと並びます
ヤコブのバーズラー・レッカリーは「蜂蜜の配分が40%」という点以外は企業秘密です。バーズラー・レッカリーは少ししなやかな食感から堅めのものまでありますが、ヤコブでは柔らかめです。
ヤコブには、もう1つ風味があります。オリジナル風味にチョコをコーティングした「チョコレート・レッカリー」です。「食べるのがやめられなくなっても困らない人向けです」と冗談交じりに宣伝しています。筆者はチョコレートがけのほうが好きです。
ほかには、蜂蜜の風味が強い「ハニー・レッカリー」、アーモンドを存分に楽しめる「アーモンド・レッカリー」があります。
ライン川が目と鼻の先にある本店外観
ヤコブは、バーゼルの中央駅にあたるバーゼルSBB駅から路面電車やバスで約10分です(徒歩だと約30分)。店への道のりで、車窓から町の様子を眺められるのは楽しいです。
ヤコブは2020年夏、バーゼルSBB駅に近く、バーゼル観光のメインポイントとなる旧市街(アルトシュタット)に2店舗目を開きました。町のシンボルのバーゼル大聖堂、赤い外観が美しいバーゼル市庁舎、様々な美術館・博物館に立ち寄るのに合わせて、新店「ヤコブのバーズラー・レッカリー」にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
店内で試食ができます
■Jakob’s Basler Leckerly
URL:https://baslerleckerly.ch
本店
住所:St. Johanns-Vorstadt 47, 4056 Basel
電話:+41 61 322 08 18
開店時間:月〜土 10〜17時
2号店
住所:Spalenberg 26, 4051 Basel
電話:+41 61 261 00 30
開店時間:月 14〜18時30分、火〜金 10〜18時30分、土 10〜17時
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2020/12/26)
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