素通りされる世界遺産の町とは?

スイス旅行に行く場合、東部のチューリッヒか西部のジュネーブが玄関口になります。スイスでは、東西を横断して旅行される方が多く、登山鉄道との兼ね合いも考えると、チューリッヒから入ってジュネーブから出るのが一般的です。途中にある、アルプスへの拠点となる町インターラーケン、レマン湖の畔のローザンヌ、こういった町には、立ち寄ることも多いので、聞き覚えがあるかもしれません。ところでスイスの首都はどこなのかご存知ですか? しかも世界遺産に登録されているのです。クイズで出しても、ご存知でなかったりするところ。その町が、「熊」という意味の名前のベルンです。みなさん、意外とこの町を通り過ごしてしまうのですね。

こんなところに教科書で見た絵が…。素通りされる世界遺産、スイス・ベルンのアートの殿堂 こんなところに教科書で見た絵が…。素通りされる世界遺産、スイス・ベルンのアートの殿堂

ベルンに暮らした世界的な有名人とは?

ベルンは、大きく蛇行するアーレ川に突き出した半島のような部分にある町です。町の三分の一は林や公園で占められ、緑が濃く、その中に、オレンジ色の屋根を持つ伝統的な石造りの建物が肩を寄せ合うように建っています。政府による厳しい規制のために、外観は中世さながらです。そこを赤や黄色のトロリーバスが行き交うので、首都のわりにどこかのんびりとした風情です。この町には、あちらこちらに噴水が残されています。水道がまだ普及していなかった時代の生活用水として、また馬の飲み水としても利用されていたとか。町のシンボルは時計台です。1902年〜1909年までの7年間、かのアインシュタインが、この町で暮らしていました。相対性理論のアイデアは、時計台を見てヒントを得たと言い伝えられています。あなたも何か思いつくかもしれませんね。

絵画もいいし、建築もいい! それがここ!

さて、町中を走る12番のトロリ―バスで終点まで行ってみましょう。まるで飛行機の格納庫さながらの蒲鉾型をした建物が、パウル・クレー・センターです。「この世で私は理解されない。いまだ生を受けていない者や、死者の元に私がいるからだ。創造の魂に普通よりも近づいているからだ。だがそれほど近づいたわけでもあるまい」(クレーの墓石の言葉より)。色の魔術師と称され、パズルのような絵を描き、記号で音が聞こえるような絵を描き、無垢な心のままでユーモアたっぷりに『忘れっぽい天使』を描いた……。ここには、そんなクレーの4000点もの作品が収蔵されています。イタリア人建築家レンゾ・ピアノ設計のユニークな建物も、周囲の自然と調和しており見ものです。ちなみにレンゾ作品には、パリのポンピドー・センターや関空旅客ターミナルビルも挙げられます。ベルンを通る旅程なら、ぜひパウル・クレー・センターに立ち寄ってみてください。