アルプスのハイシーズンは冬

昨今の登山ブームで、海外ハイキングを楽しむ人も少なくありません。その中で特に人気なのは本場のアルプス。日本からアルプスを目指す人のほとんどは夏の間に集中しますが、ヨーロッパの人にとって、アルプス観光のハイシーズンは冬です。冬の間、分厚い雲に覆われ、常に薄暗いヨーロッパの人にとって、雲の上で太陽が降り注ぐアルプスは天国のような場所なのです。だから意外にも冬の山岳リゾートは、どこも満員御礼。日光浴をしにくるだけのお年寄りもいますが、すばらしいスキー場でスキーやスノーボードを楽しむ人が大勢いるのです。

スキーで国境を越えることもできる、本場アルプスのスキー場 スキーで国境を越えることもできる、本場アルプスのスキー場

アルプスのスキー場がすばらしい理由

アルプス山脈が連なるのは、だいたい北緯46度前後。北海道より北に位置しています。緯度が高いと森林限界が低くなります。例えば本州であれば、森林限界は標高2500m。本州にあるスキー場のほとんどが、森を切り開いて造られています。ところがアルプスでは森林限界が1800mくらい。つまりそれより標高の高い場所は木がないわけです。スキー場の多くは標高2000m以上にあるので、山全体、見渡す限りがゲレンデ、というような場所がたくさんあるのです。

マッターホルンの麓で国境越えのスキーを楽しむ

スキー場がすばらしいのはそれだけではありません。例えば、マッターホルンの麓にある山岳リゾートのツェルマット。ここは2200m付近が森林限界ですので、それより上、場所によっては3900m地点まで広がる山腹のほとんどがゲレンデという、気が遠くなるようなスケールのスキー場。その気になれば、麓のツェルマットまで、標高差約2300mを滑り降りてくることも可能です。またロープウェイやリフトを乗り継げば、アルプスの南側のイタリアに滑り下りることも可能。スイスに滞在しながら、本場イタリアンのランチを食べに、スキーで国境を越えることができるのです。

複数の国を渡り歩く長距離のスキーも可能

単に国境を越えるだけでなく、複数の国をまたがってスキーを楽しむことができます。昔から知られるオートルート(高い道という意味)は、夏はハイキングで、冬はスキーで、スイスのツェルマットとフランスのシャモニーを結んでいます。直線距離で80kmほどですが、スイス、イタリア、フランスの3か国にまたがって、途中6泊か7泊、山小屋に泊りながら、様々な斜面を滑り下りていきます。このスケールは、まさにヨーロッパアルプスならでは。日本では経験できません。