シリアのパルミラ遺跡とは?

シリアにある古代ローマ遺跡のパルミラは、個人的に、世界三大古代ローマ遺跡のひとつだと思っていました。ですから2015年8月、ISによって襲撃され、ベル神殿とバールシャミン神殿が破壊されたニュースを観て強いショックを受けました。パルミラが繁栄したのは、紀元前1世紀から後3世紀までのこと。広大なシリア砂漠の中のシルクロードのオアシスとして発展しました。パルミラの語源は「パーム」。すなわちナツメヤシと言われるように、今でもここには遺跡の背後に緑のナツメヤシ畑が広がっています。その他は黄土色の砂漠に覆われ、かつて昔の人々が、この町に辿り着いて、どれほどホッとしたのかわかります。壮大なベル神殿の先には凱旋門、列柱の建つ中央通りの両側には数々の商店のほか、浴場、ナボー神殿、円形劇場、さらにはバールシャミン神殿と続きます。こんなローマ時代の商店街は、実に楽しそうですね。

破壊される前のパルミラ遺跡(2000年頃撮影) 破壊される前のパルミラ遺跡(2000年頃撮影)

世界で最も夕日が美しい遺跡

このパルミラ遺跡見学のハイライトが、近くの山の上にあるアラブの砦からの夕景でした。「世界で最も夕日が美しい」と称されるとおり、真っ赤に染まった空と、黒く陰影を映し出す遺跡は、憂愁を誘ったものです。そんな遺跡が台無しになってしまった。シリア専門家のダイアナ・ダーク氏は、パルミラ破壊のショックで、初めて世界がシリアの惨状を自分のものとして受け入れたというようなことを述べています。そのくらいのインパクトが、世界中に広がったのでした。パルミラ博物館に収蔵されていた数百個の遺物は、他へ移送され無事でしたが、この町で、著名な考古学者をはじめ、多くの市民が犠牲になりました。2016年3月、ようやくパルミラはISから解放されましたが、いまだ地雷が残されていることや、恐怖から、人々の帰還はなかなか進まないのが現状のようです。

世界三大ローマ遺跡は?

大きな被害を出したパルミラでしたが、象徴的な建物などが破壊された他は、良好な状態だそうです。元のパルミラに戻ることを祈って止みません。私は世界三大古代ローマ遺跡の中で、実はこのパルミラ遺跡こそがナンバー1ではないかと密かに思っていました。ナンバー2がトルコのエフェソス遺跡、そしてイタリアはポンペイ遺跡、トルコのパムッカレにあるヒエラポリスと続きます(あくまで個人的見解です)。エフェソスは、良好な状態の石畳の道や建造物が見所で、町の様子がこれほど想像しやすい古代ローマ遺跡はないでしょう。ポンペイは床のモザイクが素晴らしく、またヴェスヴィオ山との調和が、別荘地らしさを見せてくれます。まるで軽井沢と浅間山の関係のようです。ヒエラポリスには、隣に死者の町ネグロポリスがあります。生と死を分かつ考え方の先例として、とても興味深いです。いずれも世界遺産に登録されています。