キリスト教とイスラム教が混在する、歴史ある街・アンタクヤ

トルコ・アダナ・歴史の現地ガイド記事

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キリスト教とイスラム教が混在する、歴史ある街・アンタクヤ

掲載日:2010/02/19 テーマ:歴史 行き先: トルコ / アダナ ライター:洋子・オーレテン

タグ: 教会 博物館 歴史



ABガイド:洋子・オーレテン

【トルコのABガイド】 洋子・オーレテン
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1997年よりトルコ在住。2008年よりイスタンブール在住。イスラム建築や装飾の素晴らしさ、世界三大料理トルコ料理の美味しさ、人々の温かさに囲まれながら、“どんな時でも楽しく”をモットーに日々奮闘中です。

入り組んだ路地の続く旧市街。出窓のある木造住宅の雰囲気がまた素敵。 入り組んだ路地の続く旧市街。出窓のある木造住宅の雰囲気がまた素敵。

激動の歴史の生き証人・ アンタクヤ

トルコには、歴史のある街が数多くあるんですが、南部・シリア国境に近いアンタクヤ(Antakya)という街も、そういう古い街のひとつです。街の歴史は遥か、紀元前300年にも遡ります。アレキサンダー大王の死後、家臣の将軍たちの内の一人、セレウコス世が建設し、父アンティオコスの名に因んでアンティオキア(Antioch)と名付けられたのが始まりです。また、このアンティオキアは、エルサレムの次にキリスト教の拠点として選ばれたということから、初期キリスト教の布教に多大な影響を与えたことでも知られています。使徒パウロの布教地でもありました。また、ローマ帝国がキリスト教を認めてからは街は益々繁栄し、この街に総主教座を置くアンティオキア教会が、五大総主教座の一つとして栄えました。そんな歴史的背景から、この街には、イスラム教のモスクと共に、キリスト教の教会も多く残されているのも、特徴です。

 

正教会教会(ペテロ&パウロ教会)。外観のシンプルさとはうって変わって、内部はとっても豪華なんです。 正教会教会(ペテロ&パウロ教会)。外観のシンプルさとはうって変わって、内部はとっても豪華なんです。

使徒ペテロとパウロにちなんだ教会

それでは、アンタクヤの街を紹介してみましょう。
アンタクヤの旧市街は、古い街並みが残る、落ち着いた雰囲気のあるところです。そんな旧市街の細い路地に建つ、キリスト教会、正教会教会(Ortodoks Kilisesi)。またの名をペテロ&パウロ教会といいます。そう、使徒ペテロとパウロにちなんだ教会なのです。教会自体は1860年代の建立と、この町の歴史の中では新しいものですが、アンティオキア教会の教会というところが珍しいですね。教会建物は、普段は鍵がかかっていますが、お祈りの時間には開けて下さいますので、機会があれば、内部の豪華な装飾などをご覧になるといいでしょう。

 

ハビビ・ネッジャル・ジャーミィ。ミナレット(尖塔)の形が、トルコ南部で見られる特徴ある姿。 ハビビ・ネッジャル・ジャーミィ。ミナレット(尖塔)の形が、トルコ南部で見られる特徴ある姿。

様々な民族に支配され、その都度用途を変えられた、運命のモスク

オスマン帝国時代の出窓のある木造住宅が建ち並ぶ、路地の入り組んだ一角にある、ハビビ・ネッジャル・ジャーミィ(Habib-i Neccar Camii)。元々ローマ時代の神殿のあった場所に、この町に侵攻してきたイスラム軍がモスクを建てたのが始まりという、相当に古い歴史を持つモスクです。建築はおそらく640年頃でしょう。このモスクは、アンタクヤの歴史そのものといってもいい程の激動の歴史を刻んできました。ビザンティン帝国に支配された時代には教会として使用され、また、セルジューク朝の時代には、再びモスクに替えられ。そして十字軍が侵攻してきた際には、また教会へ。その後、マムルーク朝の時代になると、またモスクへと変わっていきます。現在の建物は、17世紀のオスマン朝支配下に大規模な修復をなされたものです。ということで、比較的新しい雰囲気のするモスクではありますが、実のところは、ただならぬ歴史を背負っているんですよね。

 

保存状態のよいモザイクが、これでもかと展示された考古学博物館より。 ソテリアの肖像。 保存状態のよいモザイクが、これでもかと展示された考古学博物館より。 ソテリアの肖像。

ローマ時代のモザイクの宝庫・考古学博物館

また、この街には、ローマ時代のモザイクの所蔵においては随一ともいわれている考古学博物館があることもお忘れなく。紀元2〜5世紀にかけて作られたモザイクの数々が所狭しと展示されています。それ以外にも、近郊の町や墳墓からの紀元前8000年頃の出土物から、オスマン帝国時代までの遺物をくまなく展示されています。アッシリアやヒッタイトといった時代のものも、見所十分です。
また、街の郊外の山の中腹には、聖ペテロ教会(St. Piyer Kilisesi)があり、ここは、アンタクヤに初めてキリスト教が伝えられた時期に建てられたもので、聖ペテロが初めて説教をしキリスト教コミュニティーを作った教会です。建立は、おそらく1世紀初頭です。岩山をくり貫いて造った、洞窟教会です。聖ペテロの聖名祝日に合わせて、毎年6月29日にはミサが行われます。
そして、街から10km離れたハルビイェ(Harbiye)という町も魅力的。ここは、古代名をダプネといい、エロスの弓矢で射られたアポロンの求愛から逃れるために、自ら、月桂樹の木に変身してしまったという、有名なギリシャ神話のダフネゆかりの地なのです。山あいの滝のある小さな町で、緑豊かな川沿いでは、家族連れがピクニックなどを楽しむ、和やかな雰囲気です。

 

アンタクヤ料理の代表的前菜(メゼ)の数々。ワインやラク(トルコのお酒)と、とっても相性がいいのです。手前のはフムス(ヒヨコ豆のペースト)。 アンタクヤ料理の代表的前菜(メゼ)の数々。ワインやラク(トルコのお酒)と、とっても相性がいいのです。手前のはフムス(ヒヨコ豆のペースト)。

地元のお料理も見逃せない

古代からの歴史が渦巻く、見所満載なアンタクヤ。地元の食材を使った、郷土料理の美味しさも特筆すべきもの。シリアに近いことから、アラブ風の前菜(メゼ)が目玉。小皿に盛られた数々の前菜は、オリーブ油と野菜を使ったヘルシーなものが多く、とても食べやすいですよ。
最近はイスタンブールから飛行機が就航し、とても便利になりました。夏は相当に暑くなる場所ですので、気候のいい時に訪ねるのがお薦めです。

アンタクヤへの行き方:イスタンブールのアジア側の空港(サビハ・ギョクチェン空港)より、週4便、飛行機が出ています。所要時間約1時間45分。空港の名はアンタクヤではなく、この町のある県の名・ハタイ(Hatay)となっていますので、ご注意を。
また、イスタンブールからは直通の長距離バスが出ています。所要時間約15時間。バスの行き先も、ハタイ(Hatay)となっている場合が多いです。

 
 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2010/02/19)
※渡航前に必ず現地の安全情報をご確認下さい。http://www.anzen.mofa.go.jp/
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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