page top

出発エリアをに変更しました。

海外旅行の検索・比較サイト|エイビーロード
AB-ROAD
トルコ・ベルガマ・遺跡の現地ガイド記事
RSS

海外現地発ガイド通信

現代医療にも通じる神域、古代ペルガモンのアスクレピオン


掲載日:2020/02/15 テーマ:遺跡 行き先: トルコ / ベルガマ

タグ: おもしろい 史跡 世界遺産 珍しい


古代ギリシャ3大アスクレピオンのひとつ

アスクレピオンの参道「聖なる道」からはアクロポリスの丘が美しく望める アスクレピオンの参道「聖なる道」からはアクロポリスの丘が美しく望める

「ここへ入院した患者は絶対に死なない、必ず良くなって退院する」。そんな病院があったならどんなに良いか。夢の世界でしかあり得ないであろう。しかし大昔には実際にあったのだ。それは古代ギリシャのペルガモン、現在のトルコのベルガマにあった。ベルガマは古代都市ペルガモンの遺跡で知られている。有名なのはアクロポリスの丘だが、郊外にあるアスクレピオンが非常に面白い。アスクレピオンとはギリシャ神話に登場する医学の神アスクレピオスの神託を授かる場所で、今で言えば総合治療施設のようなもの。ギリシャのエピダウロスやコス島にもあった。現在そちらも遺跡になっている。紀元前4世紀頃、ひとりのペルガモン人がエピダウロスの近くで怪我をしてアスクレピオンへ行き、治療を受けて戻ってきた。その人が故郷にもアスクレピオンを、とエピダウロスを模範に建設したのだそうだ。この施設はローマ時代になっても存続し、4世紀ころまで、つまり800年近くも機能していた。

治る見込みのある者だけが入ることを許された

聖なる道が終わると神域だった広場が現れ、半円形の劇場が右手奥に見られる 聖なる道が終わると神域だった広場が現れ、半円形の劇場が右手奥に見られる

ベルガマ市内の西、ぽつんと離れたところにアスクレピオンの遺跡はある。入口から石畳の道が真っすぐに伸びて両側に大きな丸い柱が並んでいる。ほとんどが柱の一部だが、これがきちんと並んでいた頃は壮麗な道であったろう。この「聖なる道」も今は150メール程しかないが当時は1キロ近い長い道だった。石畳の道の両側、列柱の外側にも脇道がある。ここに屋台がずらりと並んでいたそうで、神社の参道を想像させる。しばらく歩くと視界が開け、広場が現れた。平らなので施設全体が見渡せ、右の奥には半円形の段が並ぶ劇場の跡がある。かつて広場の前に門があり、ここから先が神域。そこへ入る前に神官による予診を受けねばならなかった。神官たちは全て医学の知識があり、中での治療も彼らが行う。予診で治る見込みがないと判断された者は門前払いされた。つまり、神域に入ることを許されたらもう半分治ったようなもの。それだけで元気になる人もいた。

神域の雰囲気に合わない者は入ることを拒否された

毒蛇の言い伝えが柱にレリーフとなって残されている 毒蛇の言い伝えが柱にレリーフとなって残されている

門があった所に出土した柱の一部が置かれ、丸い皿の両側に2匹の蛇が彫り込まれている。言い伝えでは、ある時ここを訪れた重病人が門前払いされた。治る見込みがないことを知った彼は「どうせ死ぬなら今ここで!」と、近くにいた2匹の毒蛇を捕まえ、生き血を飲んだ。すると病気がすっかり治ってしまったという。それ以来、薬草に加えて蛇の血も治療に使われるようになったとか。中庭には水が湧き出る聖なる泉があり、傍に温水や冷水、そして泥の浴槽があった。それらには免疫力を高めるラジウムが含まれていた。患者は入浴したり日光浴をしたり、劇場で観劇し、音楽を鑑賞するなど、心身ともにリラックスしてゆったり過ごした。重病人や死に瀕した人の苦しみは神域の雰囲気を損なうものだった。妊婦も断られた。健康な妊婦でも、出産のうめき声は神域のイメージに合わないとされた。神域の中は静寂な世界であらねばならなかったのだ。

マインドコントロールも治療に有効な手段

劇場のある北側の建物から、中庭の下を抜けて治療棟へ向かう地下の通路 劇場のある北側の建物から、中庭の下を抜けて治療棟へ向かう地下の通路

中庭から南の角にある治療棟まで続く80メートルほどの地下通路がある。そこには天井に穴が空けられ、患者が通るとき上から”神の声”が聞こえてきた。神官が「あなたは治る、あなたは治る〜!」と囁いたのである。声は地下道に反射して響き、神秘的だった。治療棟は2層になった円形の建物で6つに区切られ、下は聖なる泉から水を引いた浴室。患者はここで沐浴し、上でマッサージを受けた。それから眠りの間で睡眠をとり、その間に見た夢を神官に話す。神官はプラス思考になるよう、夢の解釈をした。患者はすっかりその気になって自然治癒力が増すのだった。時には催眠術で暗示をかけることもあったらしい。心身ともにリラックスして数日間をここで過ごしたら、皆が元気になって帰って行く。長く続いたアスクレピオンだったが、キリスト教が普及するにつれて衰退していった。一方、医学の神アスクレピオスはキリスト教社会でも生き延びた。脱皮を繰り返す蛇は永遠の生命を持つとされ、アスクレピオスの杖に巻き付いて医学のシンボルとなった。今日ヨーロッパの多くの国で、蛇の巻き付いた杖が薬局のマークになっている。

データ

治療棟だった建物は6つの部屋に分かれ、それぞれに丸い明り取りが付いていたが、その穴がはっきりと残っている 治療棟だった建物は6つの部屋に分かれ、それぞれに丸い明り取りが付いていたが、その穴がはっきりと残っている

Bergama Asklepion Orenyeri
ベルガマ アスクレピオン オレンエリ

住所: Asklepion, Bergama / Izmir
電話: 0232 631 2884
オープン時間:夏場は8:00〜19:00、
          冬場は8:30〜17:00
入場料: 36トルコリラ ( 1トルコリラ=約20円 )

 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2020/02/15)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
 提供情報の真実性、合法性、安全性などについては、ご自身の責任において事前に確認して利用してください。
エイビーマガジンについて

 

キーワードで記事検索

検索