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トルコ・ガジアンテップ・遺跡の現地ガイド記事
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海外現地発ガイド通信

ユーフラテス河畔のゼウグマ遺跡、ガズィアンテップのモザイク博物館、南東アナトリアがおもしろい


掲載日:2021/02/11 テーマ:遺跡 行き先: トルコ / ガジアンテップ

タグ: 史跡 珍しい 歴史


ガズィアンテップの観光ハイライト、モザイク博物館

モザイク画でよくぞここまで表現できた、とため息が出る「ジプシーの少女」 モザイク画でよくぞここまで表現できた、とため息が出る「ジプシーの少女」

薄暗い部屋に浮かび上がる「ジプシーの少女」。ガズィアンテップのゼウグマ・モザイク博物館では、このモザイク画ひとつだけが特別室に展示されている。口元のタイルが欠けているので全体の表情は判らない。それ故に瞳の力が強く感じられる。古代遺跡ゼウグマから発掘されたローマ帝国時代のモザイク画であり、ゼウグマ近くのガズィアンテップに保管されている。発見当初はアレクサンダー大王を描いたと思われていたが、研究によって女性であるとされた。バッカスの巫女として描かれた、との説もあるが「ジプシーの少女」と名付けられている。博物館の目玉でありガズィアンテップ市のシンボルになっているのは、この作品が異色であるからだ。ゼウグマで発見されたモザイク画は殆どギリシャ神話をテーマにしたもので1センチ四方にも満たないほど小さな石で制作されている。どれも素晴らしい構図で傑作ばかり。色々な神々が登場するが神様たちは皆、風景の一つとして描かれている。一方「ジプシーの少女」には、まるで彼女がそこに居るかのようなリアルさを感じる。目を据えてじっとこちらを見つめ、何かを訴えかける様な眼差しで訪れる者を魅了する。

地域開発の過程でダムの底に沈んだ古代遺跡

ゼウグマ遺跡から発掘された、極めて保存状態の良いオケアノスとテテュスのモザイク画 ゼウグマ遺跡から発掘された、極めて保存状態の良いオケアノスとテテュスのモザイク画

ゼウグマはユーフラテス川の川幅が狭まった所に紀元前3世紀初頭、アレクサンダー大王の家臣セレウコス一世によって建設された。そこにユーフラテス川最初の橋を架けたため、町は「橋の都市」という意味のゼウグマと名付けられた。紀元前30年頃にローマ帝国の町となり、その後シルクロードの中継地として栄える。3世紀頃から衰退し始め、その後の大地震によって埋もれてしまった。オスマントルコはこの近くにビレジクという町を築いた。1989年からユーフラテス川とチグリス川の流域でトルコ最大の地域開発である南東アナトリアプロジェクトGAPが行われ、22のダム、19の水力発電所、潅漑システムの建設が始まった。これによって多くの村や町が水没し、湖の底に沈んだ。ビレジクのベルクス村にあるゼウグマ遺跡もその一つで2000年10月に村は水没する。この知らせを聞いた諸外国の考古学者たちがゼウグマのモザイク画救出を呼び掛け、ゼウグマの発掘が始まった。

臨場感溢れる展示方法で来館者を迎えるモザイク博物館

海洋を司る神らしく、シンボルのイルカや多くの魚と共に描かれているポセイドンのモザイク画 海洋を司る神らしく、シンボルのイルカや多くの魚と共に描かれているポセイドンのモザイク画

遺跡モザイクの3分の1は救出不可能だったが、3分の2は発掘することができた。それらは近くのガズィアンテップ考古博物館に順次保管された。次々に運び込まれるモザイク画は保管場所を失い、新たに3万平方メートルという世界最大のモザイク博物館が2010年に完成した。モザイク画の合計は1700平方メートルにも及ぶ。展示されているのは裕福な家の床や壁に施されていたモザイク画でギリシャ神話のモチーフが多い。大理石が入手できなかったこの地方で行われた室内装飾だった。ゼウスとダナエの息子ペルセウスとその妻アンドロメダや、沐浴所の床には海の神オケアノスとその妻テテュスなど水の神が好まれて描かれた。最高神ゼウスに次ぐ力を誇り海洋のすべてを支配するポセイドンの大きなモザイク画は、大広間の柱と共にオリジナルに近い形で展示されている。床に施された大きなモザイク画は上から見ないと全体が判らない。そのため大モザイク画は2階からも眺められるようになっており、スケールの大きさに驚く。

人々の豊かな暮らしのために犠牲になる村や遺跡

ベルクス村で発掘された3階建ての屋敷が一般公開され、発掘の様子を見学ことができる ベルクス村で発掘された3階建ての屋敷が一般公開され、発掘の様子を見学ことができる

発掘現場ではゼウグマ遺跡の保存も行われている。ビレジクのベルクスBelkis村で、ローマ帝国時代の屋敷が掘り起こされた。3階建の館で、身分の高い軍人が住んでいたらしい。発掘現場全体がガラスの建屋で覆われ、通路が造られて遺跡が公開されている。ここでは無傷に近い状態で出てきた「ダナエ」が最大の観光ポイントになっている。建屋の目の前を湖の様になったユーフラテス川が流れていく。この先にダムがあるという。文化保護と経済の発展は時にはぶつかり合う。1970年代から計画され、1990年以降徐々に実施されてきたGAP(南東アナトリアプロジェクト)。南東アナトリアでは、どこへ行っても茶色の大地が延々と続く。この乾いた大地に突然、清々しい緑の畑が現れると目を疑うが、これら全てがGAPの成果だそうだ。180万haの土地が潅漑され、ダムは年間270億kWの水力エネルギーを生産するとのこと。しかし開発によって多くの村や遺跡が犠牲になった。ゼウグマのモザイクは、様々な問いを私たちに投げかけている。

データ

ゼウグマ遺跡に保存されているタイル画にはゼウスとの間に生まれたペルセウスを抱くダナエが描かれている。色彩もあり、古代ローマ時代のものとは思えない保存の良さを物語っている ゼウグマ遺跡に保存されているタイル画にはゼウスとの間に生まれたペルセウスを抱くダナエが描かれている。色彩もあり、古代ローマ時代のものとは思えない保存の良さを物語っている

ゼウグマ・モザイク博物館・ガズィアンテップ
Zeugma Mozaik Muzesi
住所:Mithatpasa, Haci Sani Konukoglu Blv., 27500 Sehitkamil/Gaziantep
電話:+90 342 325 27 27
開館時間:4月から10月は9:00〜18:30、11月から3月は9:00〜16:30 
休館日:なし
入館料:15トルコリラ


ゼウグマ古代都市
Zeugma Antik Kenti
Belkis Merkez, 27700 Belkis Koyu/Nizip/Gaziantep,
+90 342 325 2727

 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2021/02/11)
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※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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