トルコB級グルメの代表といえば

世界三大宮廷料理のひとつと言われるトルコ料理ですが、私がイスタンブールに行ったら必ず食べるのは、そんな高級料理ではありません。もうあまりにも有名すぎて、“B級グルメ”と呼ぶのも失礼な感じですが、高級レストランのメニューには決してないので仕方がありません。そのイスタンブール庶民のグルメが、日本人が「サバサンド」と呼ぶ「バルック・エクメーイ(Balik Ekmegi)」です。トルコ語で「バルック」は「魚」、「エクメック」は「パン」(形容詞変化して“エクメーイ”になっている)なので、ネーミングはそのままって感じですね。トルコの人は魚の種類までは気にしないのでしょうが、日本人は「フィッシュサンド」ではなく、「サバサンド」と呼んでいます。

エミノニュ埠頭に並ぶサバサンドの屋台は、いつも混雑 エミノニュ埠頭に並ぶサバサンドの屋台は、いつも混雑

フランスパンに焼きたてのサバを挟む

西洋式のパンは大きく分けると、フランスパン(バゲット)と英国式の四角く白いパン(ブレッド)になると思いますが、トルコでよく食べられるのはフランスパンのほうです。バルック・エクメーイは、このフランスパンを半分に切って、中に鉄板で焼いたサバの切り身を挟みます。日本の網焼きのように油を滴り落としたりはしない鉄板焼きなので、食感は揚げた感じに近いです。味つけは塩とレモン汁のみ。かつては本物の小さなレモンを絞っていましたが、最近ではすでに液体になったポッカレモンのようなものをかける場合も多いですね。挟む付け合わせとしては、生の紫タマネギ。ちょっといい店ではレタスを挟むところもあります。

湾に浮かぶ船の屋台

私が初めてイスタンブールに行った20年前も、このサバサンドは日本人の間では有名で(何しろトルコでは肉料理が主なので、日本人はみなシーフードに飢えていました)、よく連れ立ってシルケジ駅近くのエミノニュ埠頭に浮かぶ船の屋台に食べに行ったものです。船の上でおじさんたちが鉄板にサバの切り身を並べて、ジュウジュウと焼き、煙が上がって行く様子はイスタンブールの風物詩といってもいいでしょう。一時、衛生上の問題からこの屋台営業は停止になりましたが、現在では復活しています。この埠頭付近でよく釣りをしている人がいるため、よくブログで「釣ったばかりの新鮮なサバだからおいしい」などと紹介されていますがそれは勘違い。あのあたりで釣れるのは小さなアジの類いで、サバはいないことはないですが、おもにノルウェーなど北海のほうから輸入しているようです。(後編につづく)