- Chiri
- 東京都在住。20年の出版社勤務を経て、フリーに。訪れた国は45ヵ国、海外旅行の回数は100回以上。いまだにビクビク、オロオロの旅をしている、へっぽこトラベラーです。地元の人でにぎわう街をウロウロするのが何より好き。へっぽこな視点でがんばります!
出発エリアをに変更しました。
さまざまな建物が立ち並ぶ、イスタンブールの町
トルコの都、イスタンブールの路地をぶらぶら歩いていたときのことです。前方を見ると、少し先のアパートの4階ぐらいでしょうか、窓から何かが落ちてくるのが目に入りました。どうやら洗濯物を干している最中に、1枚が落下してしまったようです。すぐ前を歩いていた男性2人は、おしゃべりに夢中だったのか、そのまま通りすぎていきました。ならば私がと、近づいて見てみたら、落ちていたのは濡れたタオルでした。
上を見上げて、洗濯物を干していたマダムに、「あなたのですよね?」といった感じで合図をすると、彼女がうなずくのが見えました。タオルは、今にも車にひかれそうな道路の真ん中に落ちています。私はそれを拾って、近くにあったポールに掛けようとしました。そうすれば、あとでマダムが取りに来られます。すると、上から「ちょっと待って!」というような声が聞こえ、マダムが建物に引っ込みました。今、取りに来るのかなとその場に立っていると…すぐに、目の前にスルスルと買い物カゴが降りてくるではありませんか。
「これに入れてちょうだい、引っぱり上げるから」ということだと、瞬時にわかりました。もしやこんなときのために、ヒモをつけたカゴを準備してたの?と、だとしたら用意周到すぎると、驚きながらも笑ってしまいます。タオルを入れると、カゴはまたスルスルと上っていき、上から大きなお礼の声が降ってきました。
あとで調べたところによると、窓からカゴを降ろすという使い方は、トルコでよくあることだそう。いや、落ちた洗濯物を回収するためではなく、買い物のためだそうです。集合住宅の1階にグローサリーストアがあると、上階の住人は窓からカゴを下げて必要なものを入れてもらい、引き上げて買い物をするのだとか。食品の宅配を受け取るのにも使うそう。だから窓辺に、ヒモつきのカゴが用意してあったのですね。家に居ながらにして、欲しいものを手に入れられるなんて、とても便利。それになんだかお茶目な方法なので、ちょっとやってみたくなります。トルコらしい、素朴でかわいい習慣。イスタンブールに行かれたら、どこかのアパートからカゴが降りてきていないか、チェックしてみてくださいね。
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