モスクには決まりがある

さてモスクに行ったことがあっても、その構造や内部について良く知らないという人は多いのではないでしょうか。しかし予備知識があるのとないのとでは、実際に見学したときに受ける感動も違うでしょう。トルコやイランなどを旅行する時は、モスク見学は外せません。ここではどのモスクにも共通する、基本的な構造について簡単に説明しましょう。モスクにはある“決まり”があるのです。

イスラム教の礼拝所、モスクの構造を知ろう イスラム教の礼拝所、モスクの構造を知ろう

礼拝に絶対に必要なものとは

モスクに絶対に必要なもの、またはモスク足らしめているものが、ミフラーブです。「壁龕(へきがん)」とも呼ばれる壁のくぼみは、メッカの方向を指し示すためにあるものです。イスラム教では、信者は聖地であるメッカの方向を向いて礼拝をしなければなりません。これは本来は方向がわかればいいというものなので、このミフラーブ自体が聖なるものではありません。なかにはきれいに装飾されているミフラーブもありますが、私はその中で寝ている人も見たことがあります(笑) さて外国のホテルに泊まったとき、部屋の天井に矢印のパネルがあるのを見た方はいませんか。これは「キブラ」というメッカを指し示す方向です。とにかくイスラム教では、まずはどの方向に向かって祈るかが重要なのです。

ミフラーブの脇にある階段は?

田舎の小さなモスクではミフラーブしかないところもありますが、少し大きな町のモスクになると、ミフラーブの脇に、階段がついた「ミンバル(説教壇)」が置かれています。木製できれいに装飾されたものが多いです。階段の一番上には屋根付きの玉座がありますが、ここは預言者ムハンマドのものとされ、誰も使うことはなく、実質は装飾的なものです。金曜礼拝の際はここで説教が行われるのです。このミンバルの古いものは、骨董品のような価値があります。モスク内には、あとはコーランを置く書見台のラヒールなどがあります。

そのほかにモスクの中にあるもの

あとはモスク内には、基本的には絨毯が敷かれています。礼拝の際には信者は平伏するので、モスク内にイスが置かれることはありません。モスクに人が入り切らないときには、中庭に人があふれることがありますが、そのため敷物持参の信者もいます。今ではモスク内部の照明は電灯ですが、古いモスクの中にはかつての吊りランプが天井から下がっているところもあります。またイスラム教では偶像を禁じているので、モスク内の装飾は幾何学模様や唐草模様などのシンプルなもので、昔のカソリック教会のようにハデハデではありません。それでもイスタンブールのスルタンアフメット・ジャーミィ(ブルーモスク)のように、ステンドグラスや、壁の装飾タイルが美しいものもあります。そんなモスク見学のポイントを知りながら観光すると、より理解が深まるかもしれません。