モスクの脇にある塔はいったい何のために造られた?

イスラム圏の観光では、モスク見学はヨーロッパの教会見学に匹敵する重要な観光物件です。中央アジアやイラン、中近東の観光では、毎日のようにモスクを見て過ごすことになるでしょう。そのモスクの脇に高い塔があるのはご存知ですか? これはもともとは、高い所から礼拝の呼びかけを行うために造られたミナレット(尖塔)です。「もともとは」と書いたのは、今ではスピーカーで音声を拡声してしまうため、わざわざミナレットをにしなくてもいいからです。とはいえミナレットは教会に付き物の「鐘楼」のように、モスクにはなくてはならない建築物でしょう。

ところ変わればミナレットも変わる。モスクに付随するミナレットとは? ところ変わればミナレットも変わる。モスクに付随するミナレットとは?

ミナレットの歴史

ガイドブックを見ると、「ミナレット」といっても国によって呼び名が違います。「ミナレット」は英語なので、インドやトルコなどではペルシャ語源の「ミナール」のほうが通りが良いですね。このミナレット、実にいろいろな形があります。もっとも初期の9世紀のイラクにあるサマッラのミナレットは、外側にらせん系のスロープが造られていました。やがて塔の内部に階段が造られるようになります。ペルシャ式のミナレットは、だいたい円筒形をしており、表面にいろいろな装飾が加えられるようになりました。モスク同様、装飾タイルが表面に張られているものもあります。トルコではミナレットは細くなり、イスタンブールのブルーモスクのように、遠目に見ると鉛筆が立っているようなシルエットのものもあります。

モロッコやスペインのミナレット

そのほかに特徴があるミナレットは、モロッコなどのマグレブ諸国の四角い長方形のミナレットでしょう。チュニジアのケロアンの大モスクのミナレット、モロッコのラバトのハッサンの塔などが有名です。スペインのセビリアにある「ヒラルダの塔」はもともとはモスクのミナレットで、イスラム教徒がイベリア半島を占領していた時の名残りなんですよ。モスクは壊されて教会がそこに建てられましたが、ミナレットは「鐘楼」として残ったのです。

ミナレットの本数に決まりはあるの?

ミナレットはその役割からいって1本でいいのですが、見た目のバランスや装飾的な意味から、2本、4本と付け加えられることもあります。4本あるものでは、インドのハイダラバードにあるチャールミナールやイスタンブールのアヤソフィアが有名ですね。ここまでは珍しくはないのですが、世の中には6本のミナレットが建つモスクがあります。それがイスタンブールにあるブルーモスク(スルタンアフメッドジャミイ)です。ここまでくると、単に「格付けのためのミナレット」という感じです。