内部に広がる巨大な空間

さて、いよいよ本堂の中に入ってみましょう。私はたぶん、このアヤソフィアを7〜8回は訪れていますが、それでも毎回入るたびに新鮮な感動があります。それほどこの巨大な内部空間には圧倒されます。高さ56メートル、幅32メートルのドームを巨大な4本の石柱で支えた空間は、石柱がうまく背後の空間に溶け込んで見えることもあり、より広く見えます。少し薄暗い内部空間は、ひんやりとした空気を宿しているように感じられ、厳粛な気分になるでしょう。このドームの大きさは、ローマの聖ピエトロ寺院、ミラノのドゥオモ、ロンドンの聖ポール寺院に次ぐ、世界第4位といいます。後陣には、キリスト教の祭壇の代わりにイスラム教のミフラーブがあります。これはメッカの方向を示す窪みで、主軸から少し右側にずれた場所にあることからも、教会をモスクに転用したことがわかりますね。

ドーム内部は暗いため、天井からシャンデリアが下げられている ドーム内部は暗いため、天井からシャンデリアが下げられている

内部に立って見上げると見えるのは…

中央に立ち、正面を見上げると、天井近くに聖母子のモザイク画が見えるはずです。これは9世紀のもの。もともと内部を装飾していたキリスト教モザイクですが、オスマン朝時代に破壊を免れたものはその上に漆喰が塗られてしまいました。しかし逆にそのため、長い年月がたった今でも新鮮な状態で見ることができるともいえます。これらのモザイクは19世紀半ばのモスク修復時に発見されましたが、感銘を受けた当時のスルタンはあえてそれを剥がすことはせず、調査の上再び漆喰で塗り固めさせたといいます(当時はモスクとして使用されていたため)。現在では建物内部を装飾するものとして、壁に掲げられたアラビア文字が書かれた大きな円盤が目に入るでしょう。これは神の「アッラー」や預言者「ムハンマド」といった名前が描かれたものです。

古代に巨大建造物を造る驚きの技法

この建物を造るのにはさぞかし大きな足場が必要だったと思われがちですが、実は造られていません。造り方はエジプトのピラミットと同様に、下から上部へと建物を造っていくに従いどんどん上に土を盛っていき、上部まで完成した後に土を取り除くといった作業で建設されました。この建物の周りが土に埋まっていたなんて、今では考えられない建築技法ですね。(その4に続く)