数百人が働いていた「厨房」

イスタンブールのトプカプ宮殿・その2からの続きです。「儀礼の門」から第2庭園に入ります。騎馬でこの門をくぐれるのはスルタンだけでした。庭園に入って右側に小さなドーム屋根が並ぶ細長い建物がありますが、これは宮殿のかつての「厨房」です。トプカプ宮殿には2000人が居住しており、祭礼や国賓が来た時などにはさらに人が増えるため、厨房では常時数百人の料理人が働いていました。“世界三大料理のひとつ”と呼ばれるトルコの宮廷料理は、ここから生まれたのでしょう。当時の調理器具などが展示されているほか、一部は陶磁器の展示室となっています。

スルタンがくつろいで、食事や音楽を楽しんだハレムの「皇帝の間」 スルタンがくつろいで、食事や音楽を楽しんだハレムの「皇帝の間」

必見! 世界に誇る陶磁器セクション

実はこのトプカプ宮殿、世界でも有数の陶磁器のコレクションを誇っているのです。これは必見です。何しろ当時世界一の金持ちだったスルタンが使っていた陶磁器ですから、高価なものであることは確かです。なかでも、10〜14世紀の元や明代の青磁は世界的にも数が少なく、貴重です。青磁は、毒をもった食事が載せられると食器の表面の色が変化し、ひび割れが生じると言われ。毒殺を怖れるスルタンが重宝したといいます。とくに元代のころは、イランから中国に輸入されたコバルトで青磁が作られていたため、明代のものよりも発色がいいと言われています。ほかには14〜19世紀の青白磁やヨーロッパ諸国から献上されたマイセンなどの陶磁器や銀器、そして日本の江戸時代の陶磁器などもコレクションされています。

スルタンの私的空間「ハレム」

厨房と反対側、庭園の左側にある「正義の塔」の下の建物からは、「ハレム」に入場できます。ハレムは第2庭園と第3庭園にまたがるように作られたスルタンのプライベートな空間で、宝物庫と並ぶトプカプ宮殿のハイライトです。トプカプ宮殿の入場とは別料金(15リラ=約750円)なのでご注意を。ミュージアムパスでも入場できます。ハレムの主要部分は、16世紀後期のムラート3世時代の増築のものです。というのも、それまでのスルタンは外征が多く、宮殿には留守がちで、ハレムをそれほど大きくする必要がなかったのです。ハレムにはおよそ400の部屋があるといわれ、スルタンとその家族、女性たちの約400人が暮らしていました。ここにいる男は、エジプトから送られて来た黒人宦官のみでした。(その4につづく)