イスタンブール観光の中心地にある、小さな博物館

ヨーロッパとアジアの架け橋となる都市、イスタンブール。2000年以上の歴史を持つこの都市には、華やかな見どころがたくさんありますが、今回紹介するのは、その中でもかなり“地味な”博物館です。おそらく、2日以内の滞在なら、訪れる人は少ないのではないでしょうか。その「大宮殿モザイク博物館」は、名称は立派でも、規模は小さく、20分ほどで見て回れる広さです。ただ場所はよく、旧市街の中心部にあるブルーモスク(スルタンアフメット・ジャーミィ)のすぐ裏なので、メインの観光の合間にも寄ってみることができる場所です。

ローマ時代の床モザイク画を集めた博物館 ローマ時代の床モザイク画を集めた博物館

ローマ〜ビザンチン時代の大宮殿の跡

オスマン帝国に征服される前のイスタンブールは、コンスタンティノープルと呼ばれ、1000年も続いたビザンツ(東ローマ)帝国の首都でした。さらにローマ帝国が東西に分裂する以前の330年には、ローマ帝国の首都がローマからこのコンスタンティノープルに早くも遷都されています。このローマ〜ビザンツ時代に、皇帝が住む「大宮殿」が作られたのが、現在のブルーモスクのあたりです。この博物館は、その大宮殿にあった床モザイク画を展示するための博物館なのです。イスタンブールには、アヤソフィアなどにあるキリスト教モザイク画が有名ですが、ここにあるのは宗教画ではなく世俗画です。

モザイク画に生き生きと描かれた動物たち

この床モザイクがある場所は、大宮殿から港へ通じていた「歩廊」だと言われています。発見されたのは1930年代のことでした。モザイクの製作年代は、コンスタンティノープルに遷都したコンスタンティヌス帝から、現在のアヤソフィアを建設したユスティニアヌス帝までの4〜6世紀。題材は神話や日常生活、狩猟や人物、動物たちなどです。とくに、ゾウと戦うライオン、ヘビを補食するワシ、シカを食べるヒョウなど、動物たちの戦いの姿が生き生きと描かれています。面白いのは、そうした動物たちに混じって、現実には存在しないグリフォン(頭はワシ、体はライオンで翼を持つ)などの生き物も描かれていることです。

空いているので、もしかしたら“穴場”かも

博物館には、ほかにも他の場所で発掘された同時代のモザイク画が壁に展示されています。イスタンブールではキリスト教モザイクばかりでなく、こうした古代の暮らしがわかるモザイク画もなかなか楽しいですよ。古代史ファンだけでなく、みなさんも機会があったら訪れてみてください。場所はブルーモスクの裏側のアラスタバザールを抜けた辺りです。空いているので、のんびりもできますよ。