南東アナトリア、シャンルウルファの夜

トルコ・シャンルウルファ・グルメの現地ガイド記事

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南東アナトリア、シャンルウルファの夜

掲載日:2015/07/25 テーマ:グルメ 行き先: トルコ / シャンルウルファ ライター:オキシマ・ヒロミ

タグ: おいしい ダンス 音楽 肉料理



ABガイド:オキシマ・ヒロミ

【トルコのABガイド】 オキシマ・ヒロミ
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東京在住。2001年にイスタンブールを訪れて以来、トルコに魅せられて取材を重ね『イスタンブールと西北トルコ』(日経BP社)を出版。2014年秋には南東アナトリア地方を徹底取材する。チグリス川とユーフラテス川上流のメソポタミア地方には聖書縁の地や古代遺跡がたくさん。人気観光国トルコの、主にまだ余り知られていない町や地域を紹介する。

羊の生肉から作られるチー・キョフテ 羊の生肉から作られるチー・キョフテ

トルコの珍味チー・キョフテ

生肉を食べるといえば、タルタルステーキのように牛の挽肉を連想する。しかしここトルコではバクテリアの少ない羊肉を何度も細かく挽いて香辛料などを混ぜたチー・キョフテなるものが美食家の間で好まれている。これは南東アナトリアの郷土料理で、シャンルウルファが発祥の地と言われている。作り方は、上質の羊肉を細かく砕きこれに肉と同量の粉、さらに赤唐辛子もたくさん入れてトマトペーストで練り上げる。シャンルウルファには古い伝統を再現したもてなし方でこのチー・キョフテを作ってくれるレストランがある。コヌック・エヴというホテル&レストランで、1890年にゲストハウスとして建設された。コヌックは来客、エヴは客を迎える屋敷という意味で、現在は伝統的なトルコ様式のレストランとなり小さなホテルも兼ねている。

 

宮廷の楽器と庶民の楽器が組み合わさった楽団 宮廷の楽器と庶民の楽器が組み合わさった楽団

この地方の伝統に思いを馳せる

コヌック・エヴで水・金・土の夜に開かれる“スラ・ゲジェシ(スラの夜)”に参加するとチー・キョフテを味わうことができる。スラ・ゲジェシとはこの地方独特の慣習で、元々は男だけの会だった。定期的に持ち回りで各家に集まり、詩や物語を作るなど粋なことをして一夜を過ごしていた。今日開かれているのは主に観光客を対象にした夕食会のようなもの。地元の人たちも時々親戚や友人たちと家族連れでやってきてスラの夜を楽しんでいる。大きな広間では楽団が民族楽器でトルコ風音楽を奏でている。ネイと呼ばれる縦笛はちょっとオーボエに似た音色だ。三味線のような形をした三弦(補助弦含めて六弦)のサズは民謡に使われる楽器で、かつてのスラ・ゲジェシでは詩や物語をサズに合わせて歌にしていた。一体どんな物語で、どんな風に歌っていたのだろうか。

 

チー・キョフテを作るのは男性の役目。人数分の皿が用意されている。 チー・キョフテを作るのは男性の役目。人数分の皿が用意されている。

果たして羊生肉のお味は?

夕食は前菜から始まる。まずはビールで乾杯、と行きたいところだがイスラム教徒の国なのでお酒は出てこない。ヨーグルトの飲み物アイランで食事をする。そうこうするうちに楽団の前に現れた男性が大きな器で何やら捏ね始めた。これからチー・キョフテを作るのだ。カメラを持った客たちが集まって来る。まるでショータイムだ。挽肉の塊にブルグルというクスクスのような粉と唐辛子を入れて捏ねていく。時間を掛けて何度も何度も入念に練り上げていく。パセリを加える作り方もあるようだが、ここではピスタチオが使われていた。やっと出来上がったチー・キョフテはマルールというレタスの様な葉に包んで食べる。羊の生肉とはどんな味か恐る恐る口にすると、唐辛子の辛さとブルグルの粉っぽさが際立って、なんだかよく判らない。しかし世界の珍味を味わった満足感は残った。

 

見知らぬ客同士が手に手を取って体を揺する 見知らぬ客同士が手に手を取って体を揺する

踊り始めたらみんな仲間だ

さて、チー・キュフテを食べ終わると客の数人が楽団の前で踊り始めた。するとあちらこちらから我も我も、と客たちが踊りに加わる。ここぞとばかりにドラムの人が歩み出てリズムを取る。タターンタタッタ、タターンタタッタという民族的リズムの繰り返し。これだけで客たちは乗りに乗る。男女が一列になって手をつなぎ、リズムに合わせて体を揺する。これで足をあげたらラインダンスだ。決まった踊りの振りがあるわけでなく、ただ陽気に体を揺すっているように見える。張り切っていたドラムが疲れたのか、楽団が演奏を止める。すると皆、一斉に席へ戻っていった。酒も入ってないのに乗りが早いと感心していたが、酒が入ってないので引くのも早い。この辺のけじめが凄くいい。男だけの夜だった“スラ・ゲジェシ”。今は誰もが楽しめるシャンルウルファの夜である。

 

家族や友人たちと大勢で楽しむ“スラの夜” 家族や友人たちと大勢で楽しむ“スラの夜”

データ

コヌック・エヴ
Konuk Evi
住所:Yeni Mah. 1281. Sok. Sanliurfa
電話:0-414-215 93 77
Fax.:0-414-216 11 55
“スラの夜”参加は要予約

ホテルは6部屋のみ
シングル:85ユーロ
ダブル:105ユーロ

 
 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2015/07/25)
※渡航前に必ず現地の安全情報をご確認下さい。http://www.anzen.mofa.go.jp/
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
 提供情報の真実性、合法性、安全性などについては、ご自身の責任において事前に確認して利用してください。
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