観光客は「クラウン・ルーム」へと吸い寄せられます

エディンバラ城の中でも一番人気があるのが、ロイヤル・パレス内にある「クラウン・ルーム」です。私が行ったときは、建物の入り口からこの部屋に至るまで、びっしりと観光客が行列していました。パンフレットを読んだりオーディオガイドを聞いたりしながらみんなが目指すのは「三種の宝器」、そして「運命の石」です。宝器とは、王冠、剣、王笏(君主が持つ装飾的な杖)のことです。中でも王冠には宝石がたっぷりとあしらわれており、これを見れば誰でも「写真を撮りたい!」と思うことでしょうが、あいにくこの部屋の中はすべて撮影禁止。まぶたの裏にとどめましょう。

世界遺産の町のシンボル「エディンバラ城」は、歴史ロマンの宝庫(後編) 世界遺産の町のシンボル「エディンバラ城」は、歴史ロマンの宝庫(後編)

「運命の石」が物語るスコットランドの歴史とは

さて、「運命の石」とはなんでしょう?「スクーンの石」とも呼ばれるこの石こそ、スコットランド人の誇りを物語る宝なのです。もとは聖地パレスチナにあって聖ヤコブが枕にしていたという石を、ファーガス1世が500年ごろスコットランドに持ち込みました。以後スコットランド王家の守護石となりましたが、1296年にエドワード1世によってイングランドに戦利品として奪われてしまい、ロンドンのウェストミンスター寺院に保管されることとなります。石は木の椅子の座部にはめ込まれ、代々のイングランド王たちが即位する戴冠式のときに、王たちがこの椅子に座りました。スコットランド人のプライドは傷つけられたことでしょう。そして1996年、石は700年ぶりにスコットランドに返還され、今日ではエディンバラ城最大の呼び物となっているのです。

ただの石だけど迫力がある!

私もパンフレットの解説を読みながら見学の順番を待っていましたが、予想をはるかに上回る大きさに目を見張りました。伝説ではヤコブが枕にしていたというので、枕くらいの大きさかと思っていたら、とんでもない。なんの変哲もない長方形の石ですが、重さは約230キログラムあり(重さには諸説あり)、間近に見ていると、その歴史の長さと数奇な運命を感じて、グッと圧倒されます。

午後1時の名物「ワン・オクロック・ガン」を狙うもよし

もしも見学時間帯が午後1時前であれば、「ワン・オクロック・ガン」も見てみましょう。日曜日をのぞく毎日午後1時に1発だけ、空砲が撃たれます。1時が近づくとだんだんと観光客が大砲のそばに集まってきます。号砲1発が響いて火薬のにおいが辺りに広がると、どよめきが起こり、すぐに人垣が崩れていきます。たったこれだけですが、それなりに観光客には人気があるんですよ。ていねいに見学していくと一日がかりですから、見たいポイントを絞って行ってみてください。エディンバラ城は高台で、風が強く寒いことが多いので、防寒対策を忘れずに。