非現実的なまでに壮麗な鉄橋

エディンバラから北へ向かって走るレンタカーの助手席でうたた寝していた私は、夢か現実かわからないくらいに巨大な橋が目に入って、いっぺんに眠気が吹っ飛びました。あわてて車を降り、その非現実的ともいえるとてつもない大きさの橋を呆然と眺めたのです。エディンバラ郊外、フォース湾を跨いでいる鉄道橋「フォース鉄橋」は、それほどまでに壮観でした。

エディンバラ近郊の「フォース鉄橋」は、一見の価値ある巨大な鉄橋! エディンバラ近郊の「フォース鉄橋」は、一見の価値ある巨大な鉄橋!

事故の教訓から生まれたフォース鉄橋

フォース鉄橋ができたのは、今から100年以上前の1890年です。当時のイギリスは、産業の発展に伴って鉄道網が順調に張り巡らされていった時代。鉄道橋の建設も次々に進められていました。ところが、このフォース鉄橋ができる前の1879年、「テイ橋の悲劇」と呼ばれる大事故が起こります。ダンディー付近のテイ湾に架けられたテイ橋が、完成翌年に強風で崩壊し、通過中の列車の乗客が死亡したのです。フォース鉄橋の建設は、この大事故に教訓を得て、風の強いスコットランドに適した、丈夫で安全な設計に重きを置かれました。

“いつまでたっても終わらない”? 長い工事期間

テイ橋が鋳鉄を使ったのに対し、フォース橋は鋼鉄を使用。橋の構造もテイ橋の「トラス橋」ではなく、より大きなスパンに向いている「カンチレバートラス橋(「ゲルバートラス橋」とも)という形式を採用しました。その巨大な姿は「鋼鉄の怪物」とも呼ばれ、“いつまでたっても終わらないこと”の喩えとして「Painting the Forth Bridge(フォース橋にペンキを塗る)」という慣用句さえ生まれたほどでした。こうして8年間の建設期間を経てできあがった全長2530メートルの鉄道橋は、まさに第一級の芸術品のような壮麗さを湛え、今日に至っています。

夜にはライトアップされた橋もステキだそうです

自動車はこの鉄道橋ではなく、近くに架かっている近代的な吊り橋の方を渡ります。二つの橋を見比べるのもまた一興。バスで行く場合は、エディンバラのセント・アンドリュー・スクエア・バスステーションから、バスが頻発しています。橋のたもとのバス停で降り、存分にフォース鉄橋を堪能してください。