イギリスのテレビドラマの舞台へ

最近日本でも放映された、英国の本格ミステリーテレビドラマ「刑事フォイル」に酔いしれた人も多いはず。イギリス南東部の港町ヘイスティングスは、このドラマの舞台となった町です。ロンドンのヴィクトリア駅またはチャリング・クロス駅から約1時間半、ロンドンからの日帰り観光にもってこいです。イギリス屈指のビーチリゾートと言われています。海岸近くには黒い木造の「漁師の網蔵」が建ち並んでいます。近くにはシーフードのスタンドが店を開け、夏の週末などは、家族連れでにぎわっています。目の前には海、背後には小高い丘が控えています。今でこそイギリス人は、リタイアするとスペインなど海外に移住する人も多くなりましたが、その昔からヘイスティングスは、リタイアした人が、都会の家を売って、ここで小さな家を買い、老後を静かに暮らす町として有名だったそうです。

ヘイスティングスの海岸 ヘイスティングスの海岸

ヘイスティングスの旧市街をぶらぶら歩く

旧市街までは、駅から歩いていくことができます。古びた建物が建ち並んでいます。骨董屋が多いですね。そう、この町は骨董の町としても有名なのでした。どうしても一軒一軒覗いてみたくなります。車の通れないほどの狭い道、階段状の道の両側には、レンガ造りの背の低い塀が続いています。玄関先や窓辺に花が飾られ、ここに住む人たちの落ち着いた、それでいて暮らしの中の小さな楽しみを大切にする気持ちが伝わってきます。ロンドンの喧騒からはほど遠く、歩いてしっとりとする実にいい町なのでした。「ALES」と看板があるのは、パブですね。エールビールが置いてあるという印です。上面発酵で醸造されるこのビールは、日本のラガービールとは違い、喉越しよりも香りとコクに重きが置かれ、常温で飲みます。散歩に疲れたら一杯。そう、ドラマの中でフォイルもたびたびパブに通っていましたね。

駅と旧市街をつなぐ歩行者専用トンネル 駅と旧市街をつなぐ歩行者専用トンネル

刑事フォイルのあの場面が…

旧市街の中心クイーンズロードから東の丘のほうに登って行くと、緑地の中にヘイスティングス城が見えてきます。11世紀にはここでヘイスティングスの戦いがありました。ロンドン塔を建てたのが、勝者となったノルマン公ギョーム2世こと、イングランド王ウィリアム1世で、ロンドンは以降、イングランドの首都として整備されていったのです。さて、この城のある丘は、第8シリーズで使われましたね。英仏海峡がはるかに望めるこの場所は、とても印象的です。刑事フォイルの脚本はアンソニー・ボロビッツ。彼はこれまでにも「名探偵ポワロ」などの脚本に携わっています。ポワロの友人の名前もヘイスティングス。僕は、ボロビッツが、この人名から着想を得て、この町を舞台に刑事フォイルを書いたのではないかと推察しています。いずれにしてもイギリスらしいいい町です。是非一度訪れてみてください。

ヘイスティングスの旧市街 ヘイスティングスの旧市街