- 元川悦子
- 長野県出身。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。著書に「U−22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)「古沼貞雄 情熱」(学習研究社)ほか。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。W杯は94年大会から4回連続で現地取材した。現在も日本代表ウォッチャーとして世界各国を回っている。
出発エリアをに変更しました。
「Seven Sisters」からは149番に乗るか徒歩でスタジアムへ
フットボールの聖地・ウェンブリーに、テムズ川に程近いオシャレなエリアにあるチェルシーとフラムを紹介したイングランド編。次はロンドン北部に目を向けたい。
このエリアには、かつて名古屋グランパスを率いた知将・ベンゲル監督が率いるアーセナルと、名門ながら今季は序盤から成績不振に悩むトッテナム・ホットスパーの2クラブがある。彼らの直接対決は「ノースロンドンダービー」といわれ、イングランド3大ダービーマッチに数えられている。
そんな両者だが、先にトッテナムを取り上げる。というのも、実はこの原稿を書く直前の11月11日に、私自身が何年かぶりにスパーズ(トッテナムの愛称)のホームゲームをナマ観戦してきたからだ。今回は彼らの本拠地・ホワイトハートレーンで入手したばかりの最新情報をお届けできるのである。
ホワイトハートレーンの外観
まずはトッテナムの簡単な紹介から。クラブ創立は1882年と古い。歴史と伝統ではアーセナル、チェルシーと並ぶビッグクラブといえる。が、例年、戦力的には充実しているのに、どこか詰めが甘く、4強(アーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド)の後塵を拝し続ける。それがこのチームの特徴かもしれない。今季に至っては開幕から全く歯車が噛み合わず、チャンピオンシップ(2部に相当)降格ゾーンの18位以下に沈んでいた時期もある。結果的に足掛け4年間采配を振るったマルティン・ヨル監督が解任され、10月末からセビージャの指揮を執っていたファンデ・ラモス監督が新たに就任した。私が足を運んだ11日のヴィガン・アスレチック戦は新体制発足後、初のホーム戦ということで注目を集めたが、4−0で圧勝。やきもきしていたファンを久しぶりに喜ばせる結果となった。
チケット引き換え窓口。キックオフ30分前でも混雑していなかった
この試合を見るために、まずは公式HP(http://www.tottenhamhotspur.com/tickets/ticketinfo_prices.html)からチケットを購入した。アーセナル戦など強豪相手のゲームは、優先購入権を持つクラブカード保有者だけであっという間に完売してしまうのだが、ウィガンが下位を低迷中とあって今回は余りが出たのだろう。メインスタンド2階席・39ポンドの席を1週間前でも買うことができた。決済書類をスタジアムの窓口に持っていけば簡単にチケットに変えてくれる。これはなかなか便利なシステムだった。
プレミアリーグの場合、ダフ屋からのチケット入手は数年前に比べると非常に難しくなっていることも判明した。スパーズ戦翌日にレディング対アーセナル戦をのぞきに行ったのだが、どこを見回してもダフ屋がいない。イタリアなどでは向こうから売りに来るのに、レディングでは皆無。前売券を買おうにも、資格があるのはクラブカード保有者のみだから、一見さんはまるでノーチャンスなのだ。とはいえ、スパーズ戦のように対戦カードやタイミング次第では買える場合もある。破格の値段設定がなされているチケットブローカーから入手する方法もあるが、まずは地道に公式HPを当たるところから始めるべき。その重要性を改めて実感した。
なぜか真ん中の柱が邪魔だが、見やすいスタジアムだ
スパーズに話を戻そう。11日は地下鉄・ビクトリアラインを利用した。週末のロンドン地下鉄は工事運休が多く、普段よりかなり時間がかかることがあるという(初乗り4ポンドも取るのに、考えられないほどサービスが悪いのだ!)。そのあたりにも注意を払う必要がある。最寄駅「Seven Sisters」からは149番のバスに乗ればいいが、20分ほどかけて歩いていった。雨が降っていなければ、本当にいい散歩の距離である。夜になると物騒なアラブ系移民の多い街だが、15時キックオフの試合なら1人歩きも問題ない。
キックオフ1時間前のホワイトハートレーン周辺はかなりの人でごった返していた。特に混雑していたのが「Spurs Shop」。グッズを売るショップである。入場制限が設けられ、中に入るまでにはかなり時間がかかる。お店をゆっくり見たい人はできるだけ早めにスタジアムへ行くべきだ。
隣に陣取っていた熱狂的なサポーターたち
私が座ったメインスタンド側は、中央に2本の柱が立っていて、ピッチを見る際に邪魔になってしまう。その問題を除けば、何もかもが非常に見やすい。周囲の熱狂的なサポーターたちも冗談交じりに相手やレフリーを挑発するなど、アットホームな雰囲気だった。イングランドの観客はマナーがいい。いいプレーには敵味方関係なく必ず拍手を送る。ゴールシーンではみな総立ちになって手を叩く。その回数が多くて、両手が痛くなったほどだ。応援歌や掛け声のバリエーションも豊富。全てが聞き取れればもっと楽しいだろう。隣の人に歌詞を書いてもらったりしながらコミュニケーションを図れば、観戦はより楽しくなるだろう。私もゴールシーンのたびに隣のお兄さんと肩を組み、ちょっとした会話もした。そんな交流こそ観客席での楽しみだ。普段は記者席に座ることが多いだけに、今回は原点に返った気がした。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/11/22)
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