イギリスで生まれたフットパス

イギリスの地方に行くと、必ずと言っていいくらい目に入る表示があります。それが「Public Foot Path」です。中には「人が歩くマーク」や、矢印もあります。日本で言う遊歩道のことなのかなあと思っていたら、実はイギリスらしい考え方が潜んでいました。それが「通行権」です。たとえば土地が開発されて、それまで使っていた道が使えなくなることを、基本的には許さないのです。なぜならそこを人(あるいは馬など)が通ってきた歴史と習慣性があり、それは守られるべきだと考えられているからです。「Public Foot Path」は、そんな考えから派生した散歩道です。ベビーカーなどの通行はOK、お弁当を食べることも大丈夫です。自転車が通ってもいいのは、「Public Bridleway。公共馬道)」。イギリスの田舎には、それこそ網の目のように、こんな道が張りめぐらされているのです。

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テレビアニメ『羊のショーン』の世界を歩く

イギリス西部のウェールズにあるニュータウンという小さな町を旅した時のこと、丘陵地帯には灌木で囲われた四角い牧草地が広がっています。テレビアニメ『羊のショーン』の世界そのものです。僕と妻は、どうしても歩きたくなり、「Public foot path」の表示に従って歩くことにしました。煉瓦造りの家々が建ち並ぶ集落を抜けると牧草地帯です。小さな川が流れています。個人所有の牧草地には、木製のドアがあり、「ちゃんと閉めるように」と書いてあります。つまり個人所有の土地よりも、通行権のほうが優先するというわけですね。牧草地の中を歩いていくと、羊が赤ちゃんを産んだ後も生々しく、胎盤が落ちています。どうもフットパスとは、整備された遊歩道などではなく、「歩きたければ歩いていい道」なのだと理解が深まって行きます。川に渡された板でできた橋を通ると、今度は、なぜか幹線道路に出てしまいました。

フットパスには油断禁物!

幹線道路には、大型トレーラなどが通っています。なるほど古くからの道が、今では幹線道路になったのでしょう。歩道などないので、路肩を歩きます。トレーラーが近づいてきたら、土手を降りて、しばらく待って、また歩きます。ようやく牧草地に戻りました。しかし今度は南京鍵がしてありドアが開きません。フットパスに反対する人もいるのですね。しょうがないので、権利を行使し、柵をよじ登って乗り越えました。しばらく行くと、あたり一帯がドロドロのところに突入です。靴の中に水が染み込んできます。途中でサンドイッチを食べましたが、暗くなるまでには町に戻りたいと必死に歩きました。そうして夕方、ようやく到着。快適な遊歩道からはほど遠い、ワイルドなプットパスのハイキングでした。水や食料持参で、泥まみれになることも覚悟の上で、チャンレンジしてみてください。なぜなら、楽しいことは間違いないからです。