市内の観光には、トラムが手軽で便利

「ウクライナの都市、リヴィウで初めてトライ! バス&トラム乗車体験記(前編)」からのつづきです。リヴィウの街なかに着いたら、きっとバスよりトラムに乗る機会が多くなるかもしれません。トラムは線路の上を走るので、バスより路線がわかりやすく、停留所も目について便利だからです。乗り方は運転手からチケットを買い、車内にある刻印機に自分でチケットを差し込み、手でレバーを動かして穴を開けるというシステムです。乗車して見ていると、定期券などを持っているのかわかりませんが、乗ったきり刻印機にチケットを通すわけでもなく、そのまま降りていく人がけっこういました。なんにせよ無賃乗車は見つかれば罰金ということなので、ルールは守りましょうね。

トラムの走る、美しいリヴィウの町 トラムの走る、美しいリヴィウの町

チケットに穴を開ける作業も頼まれた

トラムのチケットは、ペラペラした小さな薄い紙です。刻印機は窓の位置にあります。バスの運賃をバケツリレーで他人に任せるのは前編で書きましたが、チケットに穴を開ける作業も頼まれたことがありました。リヴィウを去る日、バスターミナルに向かって乗ったトラムでのこと。スーツケースを抱えて動きづらい私は、よく揺れる車内で自分のチケットに穴を開けるタイミングをつかめずにいました。すると隣にいたマダムが携帯電話で通話しながら私の肩をたたき、自分のチケットを差し出して「刻印機に通せ」とあごで指図するではありませんか。リヴィウではほとんど見かけないアジア人で、スーツケースを持ち旅行者然としている私に、こんなことも頼むんだなとちょっと驚きました。

助けあいが当たり前の車内

私はそのころ肩を痛めていて刻印機に手を伸ばすのもひと苦労だったのですが、ブルブル腕を震わせながらなんとか頼まれたチケットに穴を開けました。マダムは電話でのおしゃべりに夢中のまま、それを受け取りました。自分の分もやらなくては…とまた腕をブルブルさせながらチケットを差し込むと、ちょうど風が吹いてペラペラのチケットが窓の外に飛んでいきそうになります。すると別の女性がレバーを動かして穴を開けてくれました。助け、助けられ、とにかく人とのふれあいが密接なウクライナのトラムなのでした。

町の中心、リノック広場付近。線路をたどれば、トラムの停留所がわかる 町の中心、リノック広場付近。線路をたどれば、トラムの停留所がわかる

降りるときは、素早くドアに向かうのが吉

さきほども書いたとおり、トラムはよく揺れます。停留所に停まるときにも、急ブレーキに近い激しい停まり方をすることがありました。そしてそんなとき、日本のバスなどは「危ないので、停まってから席を立ってください」というのが常識ですが、ウクライナでは違うようでした。停留所に着いたら、すぐに降りないと発車してしまいます。一度おじいさんがヨロヨロと出口に向かったら、ドアが閉まって発車してしまったことがありました。おじいさんは仕方なく席に戻り、次の停留所で再度ヨロヨロ降りようとすると、またもやドアがピシャリと閉まりました。このときばかりはおじいさんが女性ドライバーに文句を言い、口論になっていましたが、日本の感覚とは違うので気をつけてくださいね。ウクライナのバスやトラムは、乗るだけでさまざまな文化の違いを垣間見ることができます。それを発見するのも、また旅の醍醐味のひとつですね。

トラムとバスと車が混在する、リヴィウの道路 トラムとバスと車が混在する、リヴィウの道路