映画にもなった人権を求める闘い

キング牧師の足跡を訪ねて・その1からの続きです。2015年に日本でも公開された映画を観ると、キング牧師が力を入れた公民権運動の盛り上がりが、よく理解できると思います。この映画の原題は「Selma」。1965年2月、小さなセルマの町で黒人の投票権の獲得を求めるデモの最中に、丸腰の黒人青年が警官に射殺される事件が起きました。それに抗議するため、3月にセルマから州都モントゴメリーまでの80kmを、非武装のデモ行進が行われることになりした。しかし橋を渡ったところで警察はデモ参加者を弾圧。丸腰の参加者たちを殴りつける警官たちの映像は全米のテレビに流れ、大きな反響を呼びます。その2週間後、キング牧師を先頭にデモ行進は再開。無事、橋を渡り、モントゴメリーのアラバマ州議事堂前で、キング牧師が演説を行います。この映画は、その事件を描いた作品なのです。

モントゴメリーでアメリカの歴史を知る

現在、モントゴメリーを訪れると、キング牧師ゆかりの場所を訪ねて多くの観光客が訪れています。キング牧師が働いていた「デクスター・アベニュー・バプティスト教会」、バス・ボイコット運動にまつわる展示がある「ローザ・パークス博物館」、「公民権メモリアル」、そしてセルマの行進の後にキング牧師が演説した「アラバマ州議事堂」前などです。モントゴメリーを訪れたら、ぜひこれらの歴史的な場所に行ってみてください。かつてあれだけ黒人を差別した町が、今は公民権運動の象徴の町になっているのです。

そして運命の日が…

1968年4月、キング牧師は遊説のため、テネシー州のメンフィスにやってきます。4日にメンフィスで行われた演説は「私は山頂に達した」という自分の死を予見したようなものでした。宿泊先のロレイン・モーテルは、ダウンタウンの中心部近くにありました。そのバルコニーで打ち合わせ中、脱獄囚であった白人男性によって狙撃され、帰らぬ人になってしまいます。その後、このモーテルのあったダウンタウンは荒廃し、治安が悪くなって人も寄りつかなくなりました。1980年代からようやくアメリカの景気が回復し、メンフィスのダウンタウンも徐々に復興していきます。そしてこのロレイン・モーテルは、1988年に「国立公民権博物館 National Civil Rights Museum」として生まれ変わりました。(その3に続く)

現在は国立公民権博物館として公開されているロレインモーテル 現在は国立公民権博物館として公開されているロレインモーテル