「クリスマス島」はふたつある?

いったいいくつあるのか見当もつかないほど多くの島々がある南洋の島々ですが、「クリスマス島」が2つあるって知っていましたか? ひとつは赤道沿いにある国、キリバスの東部にあるクリスマス島です。ここは世界中の釣り人の憧れの場所で、浅瀬でのボーンフィッシュ・フィッシングや、外洋でのマグロのトローリングが人気です。また海鳥の大きな繁殖地でもあります。しかし今回紹介するのは、もうひとつの「クリスマス島」。インドネシアのジャワ島の南、インド洋に浮かぶ、オーストラリア領の小さな島です。

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クリスマス島で発見された“資源”とは?

このオーストラリア領クリスマス島が、最初に西欧人に発見されたのは17世紀。当時、島にはほとんど人も住んでおらず、注目されることもなかったようです。ところが1890年代になり、この島から良質なリン鉱石が発見されたのです。「グアノ」と呼ばれるこのリン鉱石は、海鳥のフンや死骸が長い年月をかけて堆積し、石になったものです。このグアノは肥料として世界中で使われ、南米のチリとボリビアではグアノを巡り戦争が起きたほどです。クリスマス島でも大規模な採掘が始まり、まず200人の中国人が労働者として送り込まれました。採掘されたグアノは、オーストラリアやニュージランド、そして日本にも輸出されました。

日本軍にも占領されたことがあるクリスマス島

第二次世界大戦が始まると、当時イギリス領だったクリスマス島へ日本軍が迫ります。当時、島にいた守備隊はわずか32名。指揮官以外のほとんどがインド兵でした。英軍は降伏を迫る日本軍に徹底抗戦をしようとしますが、部隊内で反乱が起き、5名のイギリス軍指揮官らが殺され、日本軍は無血で島を占領します。この島のリン鉱石を利用しようとした日本ですが、実際に輸送が行われることはなく戦争は終結しました。島は戦後、シンガポール領となりますが、1957年にリン鉱石事業と縁が深いオーストラリアが買い取ります。「グアノ」は肥料に使われるので、農地が少ないシンガポールよりオーストラリアの方が必要だったのでしょう。

島の新たな収入源として、豊かに自然に注目が

この島には豊かな自然が残されていたのですが、リン鉱石の採掘優先のため、最近まであまり観光業は栄えていませんでした。たまにテレビ局が、有名なアカガニの大移動の紹介番組を撮影しに来るぐらいで、オーストラリア政府による観光の宣伝活動はあまりなかったと思います。オーストラリアにはほかにも見どころはたくさんあったからです。ところが、2005年にリン鉱石の新たな採掘が停止されると、これといった産業がないクリスマス島は困り、新たにその豊かな自然を生かした観光業に力を入れるようになりました。実際、島は固有の動物たちが棲む、貴重な場所だったのです。(その2につづく)