熱気球を楽しむには早起きが必要

日本を含め世界中に熱気球を楽しめる場所がありますが、ひとつ共通していることがあります。それは早起きが必須ということ。熱気球というのは、上空に上っていくための動力(気球内の空気を暖めるバーナー)はありますが、ひとたび空中に浮かべば、すべてが風任せという乗り物です。そのため、まず空中に浮かび上がるときには無風、またはそれに近い状態であることが必要なのです。太陽が昇る前の大気は、一日で一番安定しているので、どうしても熱気球の出発は、太陽が上がる前になってしまうことが多いのです。

熱気球の楽しみは、風との一体感。オーストラリアのケアンズ郊外で熱気球を楽しむ 熱気球の楽しみは、風との一体感。オーストラリアのケアンズ郊外で熱気球を楽しむ

夜明け前の大地から浮かび上がる気球

筆者が参加した熱気球のツアーは、オーストラリアのケアンズ郊外で行われたもの。真冬にあたる8月でも、昼間はTシャツ一枚で歩ける亜熱帯の気候のケアンズですが、夜明け前はそれなりに寒く、気球の空気を暖めるバーナーの熱がありがたかったほどでした。日の出前、ふわりと浮き上がる気球は、風がないために、ほぼ垂直に高度を上げて行きました。それが太陽が昇ってくると、気球は横方向に動き出しました。明らかに大気が動いている証拠です。そして日が昇るにつれ、その動きも早くなり、さっきまで感じていた寒さも薄れていきました。

風も音もない不思議な感覚を味わう

繰り返しになりますが、熱気球は一度上空に上がると高度以外コントロールすることができません。どこに飛んで行くかは風任せ。通常ツアーは30〜40分で終了となりますが、着陸に適した場所がないと、1時間以上も飛び続けることがあるそうです。上空を流れる風と同じスピードで進んでいるので、気球のゴンドラ上ではまったくの無風。時折高度を調整するために使うバーナーの音以外に聞こえてくる音もありません。それなりの速さで空中を飛んでいるのに、風も感じないし、音も聞こえてこない。今まで味わったことがない、不思議な感覚でした。

雄大なオーストラリアの大地を上空から眺める

夜明け前、色彩に乏しかったオーストラリアの大地は、徐々に高度を上げる太陽に照らされるにつれて赤い地面が鮮やかになってゆきます。パッチワークのようなパターンの農地が地平線まで続く風景にオーストラリアの雄大さを感じ、森林地帯の上空にさしかかると、地表を野生のカンガルーが走り回る姿が見えました。フライトの時間は約50分で、着陸は休耕中の畑でした。風を読み高度を調整しながら、安全で気球の回収もしやすい場所にみごとに着陸。パイロットの腕にも感動したフライトでした。