食べる前に食器を洗うのはなぜ?

オーストラリアのダーウィンでバックパッカーズという安宿に泊まっていたときのことです。わたしはそれまで欧米圏を旅したことがなく、それは初の白人の国、初のバックパッカーズ滞在でした。夕食時、共同キッチンは、食事代の節約のために自炊する若者たちで賑わっています。わたしは同室になった日本人の女性と一緒に食事を作ることになったのですが、ワーキングホリデイでオーストラリアを回ってきた彼女が、料理を盛りつける前にお皿をさっと洗っているのに気づきました。きれいに洗ってあるお皿なのになぜ?と尋ねると、彼女いわく「白人は洗剤をすすがないんだよねー」とのこと。ええっ!?

食器を洗った後すすがない国にビックリ!洗剤がまだ残っているのに気にならないの? 食器を洗った後すすがない国にビックリ!洗剤がまだ残っているのに気にならないの?

洗剤を洗い流さない白人に驚愕

にわかには信じ難く、彼らが食器を片付ける様子を見てみました。シンクに水を溜めて、洗剤を入れ、泡立てます。そこに汚れた食器を入れ、その中で洗います。うんうん。そして洗った食器をそのまま水切りトレイに置いていき、最後にまだ泡のついている食器をタオルで拭いて棚に戻して終了、でした。本当にすすがないんですね!その後、オーストラリアを旅している間にあちこちのバックパッカーズに泊まりましたが、多くの白人の旅人たちが同じようなやりかたで食器を洗うのを見て、わたしも使う前に食器をさっと洗い流すようになりました。

洗剤で死んだ人はいない

食器の洗剤を洗い流さないのは、どうやらオーストラリア人とニュージーランド人、ヨーロッパの人に多いようです。今では一般家庭には食洗機が普及しているので問題ないですが、手洗いする場合は昔からこの方法だったそうです。日本人の感覚だと洗剤が残っていて体に悪いのではないかと考えてしまいますが、彼らは「昔からみんなこうやって洗っているけど、洗剤が原因で死んだ人はいない」「消毒になる」と言います(笑)。そういえば、泡のお風呂に浸かった後に、そのままシャワーで洗い流さずに、タオルで拭いておしまいというシーンをフランスあたりの映画でよく観たものですが、あれも同じ感覚なのでしょうか。

もともとの始まりは節水のため

この「すすがない」洗い方は、水事情に因る部分が大きいようです。日本では無駄遣いを「湯水のように」と表現するくらい水を使いますが、ヨーロッパの水資源は日本のように潤沢ではありません。また、ヨーロッパの水は硬質で、食器には白く水滴のあとが残るし、髪や肌も石けん成分よりむしろ硬質の水によって痛むと考えられています。でも、だからといって石けん成分や食器洗剤を洗い流さないのも体にいいとは思えないのですが・・・。天然由来のエコ洗剤よりも、香料の強い、界面活性剤入りの合成洗剤の方が安く多く出回っていますからね。日本人としては、節水しつつもやっぱり食器はすすぎたいところです。